新種のロバを見抜いたビスマルク 19世紀末から20世紀初頭にかけて、未知の生きものが発見され、動物園ではじめて紹介されることがたびたびあった。世界的に有名な動物商カール・ハーゲンベック自身、これにかかわっている。 たとえば、ハーゲンベックのヨーゼフ・メンゲスという海外派遣員は、ソマリランド(アフリカ東岸)に立ちよって、珍しい生きものがいないか探索したことがある。そのさい、彼が発見してドイツに送った動物に、奇妙な種がいた。青みがかった灰色の、足に縞がある野生ロバである。 明らかに珍種であるにもかかわらず、どの動物園も買おうとしない。するとたまたま、ハーゲンベックのところに宰相さいしょうビスマルクがやってきた。彼はたちまちこのロバに注目し、「わたしは動物学者ではないが、ひと目みれば、こいつは新しくて珍しい種に違いないとわかるよ」といった。ビスマルクの直感は正しかった。のちにロンドン動物園がこの