きもち欠乏症の観察がひと段落したところで,棚上げしていた問題に戻ってみよう。「話し手のキャラクタの濃さ」はなぜきもち欠乏症を抑える効果を持つのだろうか? そもそもきもち欠乏症それ自体が未解明の部分を残しているので,この問題に十全な答を与えることは現時点では難しいが,私が惹かれている説明案を2つ挙げておこう。 第1の説明案は,キャラクタを,特定のきもちを生み出すことと直接つなげてしまう案である。たとえば『兵士』キャラが発動されれば,「~であります」と軍隊口調になるだけでなく,所作の全般がきびきびした軍隊風のものになる。何をしゃべり何をするにも,そこに軍人精神・軍人気質が込められるのは,『兵士』キャラがそうしたきもちの補給源であればこその話である。キャラクタの濃淡によって差はあるが,同じことは他のキャラクタについても言える,というのがこの説明案である。 第2の説明案は,「レス・イズ・モア」(”