イノセンスという作品は、「バトーを主役にした寅さん映画」と捉えると理解しやすい。 前作の攻殻機動隊は、草薙素子という女性をめぐる三角関係の映画だった。 肉体をほぼ失った女性・素子と、同じく肉体をほぼ失った男性・バトー。そして最初から肉体を持たない人工知性・人形使い。 素子は自分の正体やアイデンティティのありどころに悩み、バトーはそんな素子に「俺たちは理解し合えるんだ」と寄り添おうとする。 しかし素子が最終的に選んだのは「新しい世界に連れて行ってあげる」と手を差し伸べた人形使い。 バトーにとって、映画版第一作は「一生懸命尽くしたのに振られたお話」だった。 つまり「義体はつらいよ 寅次郎さすらい編」ですな。 「お~れがお前で お前が俺で~ サイバー世界は自我不安~」 素子ぉ、ハッキングには気ぃつけろよ。 お前が電脳の世界にヨメに行ってからも、あんちゃんは公安9課で頑張ってるから心配するなぁ。