インティメイト・アーキテクチャー | 成実弘至 Intimate Architecture | Hiroshi Narumi 建築とファッションの境界が揺れ動いている状況を見てきた。 表参道や六本木には有名建築家の手になるブランドの旗艦店が林立し、そこは高価な商品とともに現代建築をも消費する場所となっている。住宅やインテリアもブームになり、書店に行けば建築やモダン・デザインを特集するライフスタイル雑誌があふれている。 これまで建築とファッションは別物、というか対極にあるものと考えられてきた。長い年月を生きる建物とシーズンごとに変化する服飾はまったく異なる分野だったはずだ。近代建築は装飾を目の敵にしてきた経緯もある。にもかかわらず、現在の両者のあり様はなぜか限りなく似てきている。 元来「ファッション」という言葉には「流行・トレンド」と「衣服・服飾」という二つの異なる意味がある。両者はセットで