本を読んでゾクゾクしたのは久しぶりだ。 『意識は傍観者である』は神経科学者のデイヴィッド・イーグルマンによる脳科学の本。人は目や耳で情報をインプットして、口や手でアウトプットする。この一連の流れを自分でコントロールしていると錯覚するが、大部分は無意識に行われている。多くの場面で意識は傍観者なのだ。 目を閉じて、車の車線変更を想像して欲しい。あなたはハンドルを握っている。左の車線から右の車線に移るためにハンドルを右に回す。右の車線に移ったらハンドルを正面の位置に戻す。多くの人がこのようなハンドル操作を想像するが、実際はハンドルを左に回してから正面に戻さないと、右側の中央分離帯に追突してしまう。 人は大部分を意識せずに処理している。だからこそ、脳のエネルギー使用率を最小限に抑えることができる。人の脳の重さは体重の2%に満たないが、消費するエネルギーは全体の20%を超える。私たちはバッテリーで動