「大賀さんと自分のツーショットの写真を机の前に置き、大賀さんから怒られているつもりで、毎日仕事をしています」――。 ソニーで製品デザインを長らく手がけた経験を持ち、現在は独立している、あるデザイナーは、そんな話を披露してくれた。ソニーの元社長である大賀典雄氏が、いかにデザイナーから尊敬されているのかを示す、象徴的なエピソードだ。 間もなく発売となる日経ビジネス2014年9月15日号で筆者は、家電のデザインをテーマにした記事を執筆した。数々の製品デザイナーへ取材をしたが、予想以上に多かったのが、大賀氏をレスペクトする声。芸術家の顔も持ち、製品デザインの重要性を理解していた異色の名物経営者として、ソニー関係者だけでなく、直接的にソニーとは関係ない製品デザイナーも、大賀氏に尊敬の念を抱いていた。 デザインに精通し、デザインにこだわった家電製品を世に送り出した経営者として名前が上がるのは、近年では