FM東京からの電話取材で「マルクスブーム」についてお話する。 「今どうしてマルクスなのか?」 ってさ、この定型的なタイトルなんとかなりませんか・・・ まあ、よろしい。 どうして、私たちは今ごろ「マルクス本」を書いたのか。 それについては『若マル』の中に縷々書いたので繰り返すの面倒だが、やはり最大の理由は「グランド・セオリーの復権」という思想史的な軌道修正である。 「グランド・セオリーの終焉」というのは、ご存じポスト・モダニズムの惹句である。 世界を概観し、歴史の流れを比較的単純なストーリーパターンでおおづかみに説明するような「大きな物語」を退けたポストモダニストたちは、きわめて複雑な知的ハイテクノロジーを駆使して、何を書いているのかぜんぜんわからない大量のテクストを書きまくった。 「何を書いているのかぜんぜんわからないテクスト」を書く人間はもちろん「わざと」そうしているのである。 それは読