日本と韓国は今年、国交正常化50周年を迎える。両国関係はいま、従軍慰安婦や領土問題をめぐり「最悪」とも言える状態にある。しかし、日本国総理大臣の座にある安倍晋三の一族が、政治家として他に類を見ないほど朝鮮半島と深い縁を結んできたことも、また事実なのだ。(文中敬称略) 地元・山口県と韓国にまたがる「王国」を築く 手元に、1冊の写真集がある。タイトルは「関釜フェリー就航記念アルバム」。1970年に編纂された非売品だ。当時から在日本大韓民国民団(以下、民団)の活動に関わってきた下関在住の在日コリアン(以下、在日)2世の男性は、「ごく限られた人々に配布されたのでしょう。私も初めて見るものだ」と驚く。 1965年に国交正常化した日韓両国にとって、韓国・釜山との間を往復する関釜フェリーの就航は、新時代の訪れの象徴だった。アルバムの70枚を超える写真からは、当時の興奮がひしひしと伝わってくる。 関釜フェ