震災前には家族4人でよく遊んだ公園のそばにある神社。鈴木達也さん(中)は久しぶりに2人の子どもと訪れた=宮城県名取市で(嶋邦夫撮影) あれから一年がたった。東日本には今も大きな傷痕が残り、すべての国民が記憶を共有している。そして被災地には、まだ希望のともしびを見いだせない人たちが数多くいる。その声に耳を傾ける。そうすると、震災前から日本が抱えてきた「影」が浮き彫りになってくる。国や自治体は、どこを間違い、何を怠ってきたのか。これからの日本は、どう進んでいくべきなのか。 仙台市内の小さな印刷会社。ここで伝票や封筒を印刷する仕事をしている鈴木達也さん(30)は、同僚が残業をしていても、午後五時半に仕事を終える。宮城県亘理(わたり)町の自宅で待つ長女(7つ)と長男(3つ)と夕食を取るためだ。 家庭を守ってきた妻を津波で失った。遺体が見つかった夜「ママはお星さまになったんだ」と伝えると長女は声を出