相田洋「電子立国日本の自叙伝」(日本放送出版教会 1991年 4巻 のちNHKライブラリー 7巻 1995年)は、1990年にNHKテレビで放映された番組を活字化したもので、わたくしは丸谷才一・山崎正和の「日本史を読む」(中央公論社 1998年)で知った。電子工業が世界でいかに生まれ、日本でいかに成長したかのドキュメントで、いわば「プロジェクトX」の雛形のようなところもある番組であったのかもしれないが、「プロジェクトX」とは違うのは、日本だけでなくアメリカのIT創生期についても詳しく紹介されていることである。インテルの起業あたりの記述だけでもまさに「血湧き肉踊る」話であって、その創業の時期の「熱さ」というのは「ウェブ時代をゆく」でのグーグルの「熱さ」とも通じるものがあるように思う。それはまた日本のある時代がもっていた「熱さ」でもあって、梅田氏が問う「ひとはなぜ働くのか」への一つの答えともな