絶滅収容所のとなりで幸福に暮らす家族アウシュビッツにあった絶滅収容所の所長一家が、施設のすぐとなりに建てられた、美しい庭を備えた瀟酒な家に居住し、穏やかに暮らしていたという実話をもとに作られた作品が『関心領域』である(英作家マーティン・エイミスによる原作小説あり)。家族でレジャーを楽しみ、子どもを教育し、ひとつのテーブルで食事を摂り、誕生日のプレゼントを贈りあうルドルフ一家。地獄絵図のとなりで営まれる、平凡だが幸福な暮らし。劇中では収容所内の様子を一切描写せず、家族の暮らしや、所長であるヘス*1 の体験だけを描いている。また本作は音響効果が非常に重要であり、収容所内の情報が音として伝わってくる構造になっているのが大きな特徴である。監督は『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(2013)のジョナサン・グレイザー。 本作を見ながら、もし自分がタイムトラベルをして、この所長一家と会話できる状況になっ