やまもといちろう @ kirik 投資事業とコンテンツ事業がメインの20年選手。株式会社データビークル、東北楽天ゴールデンイーグルス、東京大学政策ビジョン研究センターなどで棲息。最近は仕事より育児の比重が高くなってきました… 一歩一歩頑張って登っていきます。
政治の起源 人類以前からフランス革命まで 上 著者:フランシス・フクヤマ 出版社:講談社 ジャンル:社会・時事・政治・行政 政治の起源―人類以前からフランス革命まで(上・下) [著]フランシス・フクヤマ 国内外問わず、時局的な政治解説に日々接していると、ふと巨視的な視点から〈いま〉を捉え直したくなる。 「政治制度の発展と衰退のメカニズム」に鋭く切り込んだ本書はそのための格好の書だ。 まず何よりも評価すべきは、先史時代の社会や部族社会に関する人類学の知見を真摯(しんし)に取り入れながら、西欧近代の政治理論が前提としてきた合理主義的な人間観を客体視している点である。 それゆえ、近代的な政治制度の発展には「国家」「法の支配」「政府の説明責任」の三つの均衡が必要だと説く際も、ホッブズやロックやルソー、あるいはギリシャやローマから語ることはしない。 例えば、人類初の「近代国家」(=能力本位の官僚制を
デモクラシーの生と死(上・下) [著]ジョン・キーン 本書を読むと、古代・中世・近代を区分することになんの意味があるのか、そうすることで歴史の水面下で脈々と過去を未来につなげようとする人々のダイナミックな動きを抹消してしまうのではと強く思う。「過去のものごとの記憶を、デモクラシーの現在・未来に不可欠なものとして扱い」、従来の「西欧デモクラシーのドグマ」、なかでもデモクラシーを「非時間的」なものとして扱う『歴史の終わり』(F・フクヤマ)やデモクラシーを19世紀の発明とする『第三の波』(S・ハンチントン)を退けている。 これまで多くの人が当たり前だと思っていたことを、著者は次々と証拠を挙げて否定する。集会デモクラシーの起源は、紀元前6世紀末のギリシャ・アテナイではない。なんと前2千年の古代ミケーネ文明に「デーモス」(民衆)の直接の語根があり、東方にその起源があったことを、考古学的な新証拠によっ
ル・コルビュジエ 生政治としてのユルバニスム [著]八束はじめ モダニズム建築の「神様」としてたてまつられてきたル・コルビュジエが、フーコー的な権力分析の手法によって、見事なまでに解体され、裸にされた。 従来のコルビュジエ評価は二分される。19世紀以前の旧態依然とした様式建築、装飾的建築を粉砕した、合理主義者、改革者としてのコルビュジエ。対極の評価は、20世紀流、工業社会流の殺伐とした非人間的空間の原型を作った、犯罪者としてのコルビュジエである。 著者は、そのどちらでもない新しいコルビュジエ像を提示する。天使でもなく、悪魔でもない。著者は、それをコルビュジエの中の矛盾として説明せずに、コルビュジエの必然的、宿命的遍歴として示す。 一般にコルビュジエは、国際主義者、グローバリストと考えられてきた。しかし、著者の描くコルビュジエは、スイスの片田舎のユグノーの家に生まれ、地域主義者としてスタート
ジャン=ジャック・ルソーの政治哲学 一般意志・人民主権・共和国 著者:ブリュノ・ベルナルディ 出版社:勁草書房 ジャンル:社会・時事・政治・行政 ジャン=ジャック・ルソーの政治哲学―一般意志・人民主権・共和国 [著]ブリュノ・ベルナルディ フランス革命の源流としてのルソー。こうした像を覆す近年の再解釈の中心人物がベルナルディであり、本書は日本での彼の連続講演に基づく。周到なテキスト読解から浮かび上がるのは、意外なほど現代的なルソーである。 共和主義という言葉は、それ自体が多義的だが、共和国を構成する市民に「徳」を求めるのが一般的である。ところが、ルソーの『社会契約論』には徳への言及がほとんどない。それは、「人は自由であるにふさわしいから自由なのではなく、自由だからこそ尊厳ある存在になる」と彼が考えたからだとベルナルディは指摘し、移民を政策的に選別しようとした近年のフランスの動向と対比する。
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