■世界言語にもなりうる可能性 一種の日本礼賛本かと読みはじめたら、見事に裏切られた。筆者は、日本語を礼賛するが、現在の日本、日本人に対して批判的である。日本語と日本人は別物であり、日本語は「驚くべき」であるが、日本人はもっとタフになって、自分を開き、国を開けと、筆者は提案する。 日本語の持つ大きな可能性に対しての分析は、4カ国語を自由にあやつる筆者ならではの説得力がある。極めて限られた語彙(ごい)をベースにしながら、そこに接頭語、接尾語などを自由に付加することで、他の言語では達成できないような効率性、柔軟性を持つ日本語は、充分に英語にも匹敵する世界言語たりえるという分析である。日本語を他言語に通訳する場合、同一内容が倍の長さになるともいわれるが、日本語の本質的な効率性、機能性ゆえだったのである。オノマトペの多用も、日本語の表現力を倍化させているらしい。 しかも日本語は曖昧(あいまい)な言語
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