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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (64)

  • 問題領域の重なる人を探す『宇宙・動物・資本主義──稲葉振一郎対話集』

    新自由主義って何十年も「新」って言い続けてるよね 物理学が発生するようなローカルな環境を研究するのが物理学の正体 ピンカー『暴力の人類史』は過去の暴力を過大に見積もりすぎ カズオ・イシグロ作品につきまとうのは、人の主観性の有限性 ナウシカ「風の谷」と未来少年コナン「ハイハーバー」とシン・エヴァ「第3村」を比較する 上のリストはほんの一例。実に様々なことが語られており、ハッとさせられたり、思わず爆笑したり、忙しい読書だった。第一線で活躍する研究者や批評家、作家と、稲葉振一郎氏の対談を500頁超に詰め込んだ鈍器がこれだ。 『宇宙・動物・資主義』という奇妙なタイトルが物語っており、なんのこっちゃと首をかしげていた。だが、読み終わったら分かった。確かにこれは、宇宙・動物・資主義といわざるを得ない。この3語で網羅しているのではなく、この3語ぐらい離れたテーマが飛び交いつつも、混ざりあっている。

    問題領域の重なる人を探す『宇宙・動物・資本主義──稲葉振一郎対話集』
  • 人事制度の脆弱性を衝いて給料UPする『人事制度の基本』

    年収を上げる」と検索すると、ずらり転職サイトが並ぶ。ライフハック記事の体裁だが、最終的には転職サイトに誘導する広告記事だ。 しかも見事なまでに中身がない。転職しないなら、「副業を始める」とか「スキルアップする」といった誰でも思いつきそうなトピックを、薄ーく書きのばしている。 ここでは、もう少し有益な書籍を紹介する。想定読者はこんな感じ。 スキルアップはしてるけど、給料UPにつながらない 転職も考えたが、今の場所で評価されたい 自分をプレゼンして「良く見せる」のがヘタ そんな人に、2つのアプローチで給料を上げる方法を紹介する。 人事制度の脆弱性をハッキングする 上司のバイアスを逆に利用させてもらう この記事は1のアプローチから攻める。 紹介するはこれだ、『この1冊ですべてわかる 人事制度の基』(西尾太、日実業出版社)。 著者は人材コンサルタント。400社、1万人以上をコンサルティング

    人事制度の脆弱性を衝いて給料UPする『人事制度の基本』
  • なぜ『百年の孤独』が面白いのか、ネタバレ抜きで語ってみる

    人生で3冊読んだけど、3冊とも面白かった。 最初は水色のハードカバー版で、次は白黒のやつ、そして最近出た新潮文庫を読んだことになる。ストーリーは知っているし、あのラストの感情の奔流は何度も味わっているのに、それでも無類に面白い。 何度も読んだのに、なぜ、面白いのだろうか? まともな人間が(ほぼ)誰もいないブエンディア一族の奇妙な生きざまや、日常的に非日常が描かれるマジックリアリズムの磁力、あるいは、奇妙で悲惨でユーモラスなエピソードが隙間なく詰め込まれているストーリーは、どこから見ても面白い。 しかし、3冊目の新潮文庫を読みながら、そうしたストーリーやキャラだけでなく、『百年の孤独』そのものに面白さが練り込まれていることに気づいた。 ここでは、物語の展開や登場人物の運命にはできるだけ触れずに、ネタバレ抜きで、『百年の孤独』の面白さを語ってみる。 既視感と未視感の混交 例えば、中毒性のある文

    なぜ『百年の孤独』が面白いのか、ネタバレ抜きで語ってみる
  • 『このホラーがすごい!2024』の国内編1位と海外編1位が面白かったので、私のお薦めを紹介する

    ホラーのプロが選んだ「当に怖いベスト20」が紹介されている。 ホラーのプロとは、ホラー作家だったり編集者だったり、海外ホラーの翻訳家だったりホラー大好きな書店員だったりする。ベスト20のラインナップを見る限り、相当の目利きであることが分かる。 これがtwitterの人気投票だと、どうしても「売れてるホラー」に偏る。ベストセラーとは普段読まない人が買うからベストセラーになるのだから仕方がないのだが、どこかで見たリストになってしまう。 「売れてる」要素も押さえつつ、なぜそれが怖いのか、どうしてそれが「いま」なのかといった切り口も併せて説明しているので、流行に疎い私には重宝する一冊だった。 いまのホラーはモキュメンタリー(Mockumentary)が一大潮流だという。実際には存在しないものや、架空の出来事を、ドキュメンタリー形式で描くジャンルだ。実話系怪談や、ファウンド・フッテージ(撮影された

    『このホラーがすごい!2024』の国内編1位と海外編1位が面白かったので、私のお薦めを紹介する
  • わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    『美術の物語』は世界で最も読まれている美術のだ。 原始の洞窟壁画からモダンアートまで、西洋のみならず東洋も視野に入れ、美術の全体を紹介している。これほど広く長く読まれている美術書は珍しい。「入門書」と銘打ってはいるものの、これはバイブル級の名著として末永く手元に置いておきたい。 『美術の物語』は、ハードカバーの巨大なやつと、ポケット版がある。ポケット版は、長らく絶版状態となっており、べらぼうな値段がついていたが、今秋、河出書房新社から復刊されるぞ。新装版と銘打っているので、このPHAIDON版とほぼ同じだと予想する。もった感じとかはこの写真で想像してほしい。 書のおかげで、興味と好奇心に導かれるままツマミいしてきた作品群が、社会や伝統のつながりの中で捉えられるようになった。同時に、「私に合わない」と一瞥で判断してきたことがいかに誤っており、そこに世界を理解する手段が眠っていることに気

    わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
  • 死ぬときに思い出す傑作『イギリス人の患者』

    死ぬときに思い出す小説の一つ。 あれを読めば良かったとか、これがまだ途中だったとか、未練は必ずあるはずだ。どんなに読んでも足りることはないから。そんな後悔の中で、エピソードや描写を思い出し、読んでよかったと言える作品の一つが、『イギリス人の患者』だ。 映画が公開されたときだから、20年以上前に読んだのだが、いま再読しても美しい。詩的で情緒豊かに紡がれる、四人の男女の破壊された人生の物語だ。 あらすじはシンプルだ。 第二次世界大戦の終わり、イタリア北部の半ば廃墟となった修道院が舞台となる。そこで生活を共にするのは、看護婦のハナ、泥棒のカラヴァッジョ、インド人の工兵のキップ、そしてイギリス人の患者となる。人生のわずかな期間にすれ違う男女が、自身の半生を思い出す。 ただし、けっして読みやすい、ストレートなお話ではない。 時系列は無警告で前後するし、エピソードの粒度や解像度はバラバラだ。後になって

    死ぬときに思い出す傑作『イギリス人の患者』
  • 「ミスを罰する」より効果的にミスを減らす『失敗ゼロからの脱却』

    ミスや失敗をなくすため、ヒューマンエラーに厳罰を下すとどうなるか? 一つの事例が、2001年に起きた旅客機のニアミス事故だ。羽田発のJAL907便と、韓国発のJAL958便が駿河湾上空でニアミスを起こしたもの。幸いにも死者は無かったものの、多数の重軽傷者が出ており、一歩間違えれば航空史上最悪の結果を招いた可能性もあった。 事故の原因は航空管制官による「便名の言い間違い」にあるとし、指示をした管制官と訓練生の2名が刑事事件に問われることになる。裁判は最高裁まで行われ、最終的には2名とも有罪となり、失職する。判決文にこうある。 そもそも、被告人両名が航空管制官として緊張感をもって、意識を集中して仕事をしていれば、起こり得なかった事態である [Wikipedia:日航空機駿河湾上空ニアミス事故] より 芳賀繁『失敗ゼロからの脱却』は、これに異を唱える。 事故は単一の人間のミスにより発生するので

    「ミスを罰する」より効果的にミスを減らす『失敗ゼロからの脱却』
  • やり直せない過去は変えてしまえばいい『グレート・ギャッツビー』

    おっさんになって再読すると、違った面が浮かび上がって面白い。 若いころに読んだときは、自己中男の醜さや、頭空っぽの女の美しさが印象的だった。自己陶酔的な語り手に鼻白んだことも覚えている。 だが、いま読み返すと、ギャッツビーのひたむきな愛が眩しく、可愛そうなくらい未熟で愚かに見える。人生を折り返して、やり直したくてもできなくなった親爺からすると、ギャッツビーの愚かしさは、一周回って愛おしいものになる。 ギャッツビーを「愚か」というのは言い過ぎじゃない? そういうツッコミが聞こえる。 貧乏な生まれながら身一つでのし上がって大金持ちになったギャッツビーが、有り余るカネを湯水のように使って夜な夜なパーティを開く―――愚かに見えるかもしれないが、ちゃんと理由があるからで、それを「愚か」と呼ぶのは言い過ぎだろう……というツッコミだ。 しかし、私が「愚か」と感じるのは、そこじゃない。例えば、語り手である

    やり直せない過去は変えてしまえばいい『グレート・ギャッツビー』
  • ジョージ・オーウェル『1984年』を山形浩生訳で読んだら驚くほど面白かった

    有名だけど退屈な小説の代表格は、『一九八四年』だ。全体主義による監視社会を描いたディストピア小説として有名なやつ。 2017年、ドナルド・トランプが大統領に就任した際にベストセラーになったので、ご存知の方も多いだろう。「党」が全てを独裁し、嘘と憎しみとプロパガンダをふりまく国家が、現実と異なる発表を「もう一つの事実(alternative facts)」と強弁した大統領側近と重なったからかもしれぬ。 『一九八四年』は、学生の頃にハヤカワ文庫で読んだことがある。「ディストピア小説の傑作」という文句に惹かれたのだが、面白いという印象はなかった。 主人公のウィンストンは優柔不断で、あれこれグルグル考えているだけで、自ら行動を起こすというよりも、周囲の状況に流され、成り行きで選んでゆく。高尚な信念というより下半身の欲求に従っているように見える。 「党」を体現する人物との対話も、やたら小難しく何を言

    ジョージ・オーウェル『1984年』を山形浩生訳で読んだら驚くほど面白かった
  • ミスを責めるとミスが増え、自己正当化がミスを再発する『失敗の科学』

    人はミスをする。これは当たり前のことだ。 だからミスしないように準備をするし、仮にミスしたとしても、トラブルにならないように防護策を立てておく。人命に関わるような重大なトラブルになるのであれば、対策は何重にもなるだろう。 個人的なミスが、ただ一つの「原因→結果」として重大な事故に直結したなら分かりやすいが、現実としてありえない。ミスを事故に至らしめた連鎖や、それを生み出した背景を無視して、「個人」を糾弾することは公正なのか? 例えば、米国における医療ミスによる死亡者数は、年間40万人以上と推計されている(※1)。イギリスでは年間3万4千人もの患者がヒューマンエラーによって死亡している(※2)。 回避できたにもかかわらず死亡させた原因として、誤診や投薬ミス、手術中の外傷、手術部位の取り違え、輸血ミス、術後合併症など多岐にわたる。数字だけで見るならば、米国の三大死因は、「心疾患」「がん」そして

    ミスを責めるとミスが増え、自己正当化がミスを再発する『失敗の科学』
  • 2024年1月1日からAmazonアフィリンクの画像が表示できなくなりそうなので、対応をまとめた

    以下、私のやり方であって「正解」ではないかもしれないのでご承知おきを。 11/30 Amazonより以下のメールが届いた。 お知らせ欄で告知しております通り、2023年11月30日(木)をもってアソシエイトツールバーの「画像リンク」及び「テキストと画像」リンクを廃止させていただきます。 画像リンク作成機能を使用して作成されたリンクは、2023年12月31日(日)以降表示されなくなりますので、画像リンクを掲載されている場合は、お早めに別のリンクへの差し替えのご対応をお願いいたします。 強調表示の内容は、Amazonアソシエイトの「お知らせ」には載っていない。そのため、twitter で騒ぎになっていないので、このメールが「ガセ」という可能性もある。 だが、もし当なら、私にとって、わりとヤバい話になる。というのも、ブログに書影を表示させるため、この機能を使っているから。 そして、画像を表示さ

    2024年1月1日からAmazonアフィリンクの画像が表示できなくなりそうなので、対応をまとめた
  • この本がスゴい!2023

    「あとで読む」と思ったが、後で読まれた試しがない。 今度の週末・連休にと、積まれたは崩されない。次の盆休み・年末年始に繰り越され、山脈を成し床が消える。 読書事になぞらえて、「血肉化」と表現するならば、私がやっていることは、メニューを眺めて片っ端から注文しているくせに、いんすた映えを気にしながら撮るくせに、まともに咀嚼して嚥下して消化してない状態だ。 そのくせ、「積読も読書のうち」と開き直ったり、溜まったこそ私の証などと屁理屈こね回す。読まないに「負債」のような後ろめたさを感じつつ、新刊を探しだす。新しいはそれだけで価値があると盲信し、かくして積読リストは延びてゆく。 もう一つ、恐ろしい予感がある。感受性の劣化だ。 あれほど楽しみに「取っておいた」が、まるで面白くなくなっている。いや、そのの「面白さ」が何であるかは理解できる。だが、それを面白いと感じなくなっているのだ。

    この本がスゴい!2023
  • 死ぬまでに読みたかったベイトソンが「いま」読める幸せ『精神の生態学へ』

    面会にやってきた母親を、息子はハグしようとする。母親は身をすくませるため、息子はハグを諦めて、少し離れる。すると母親は悲しげに言う「もうお母さんのことを愛してくれなくなったの?」 母親が帰った後、息子は暴れ出したので、保護室へ収容される。 グレゴリー・ベイトソンは、統合失調症の息子ではなく、母親の言動に注目する。息子のことを愛していると言う一方で、息子からの愛情を身振りで拒絶する。さらに、息子からの愛が無いとして非難する。 息子は混乱するだろう。ハグしようとする愛情表現を拒絶するばかりでなく、そもそもハグそのものが「無かったこと」として扱われる。にも関わらず、息子のことを愛していると述べる……そんな母親に近づけばよいのか、離れればよいのか、分からなくなる。 矛盾するメッセージに挟まれる ベイトソンは、この状況をダブルバインドと名づける。会話による言葉のメッセージと、身振りやしぐさ、声の調子

    死ぬまでに読みたかったベイトソンが「いま」読める幸せ『精神の生態学へ』
  • なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか?

    「謝ったら死ぬ病」をご存知だろうか? どんなに証拠を突き付けても、絶対に非を認めない人だ。 プライドの高さや負けず嫌いといった性格的なものよりもむしろ、過ちを認めることが、自分の命にかかわるものだと頑なに信じている。すなわち、「謝ったら死ぬ」という病(やまい)に取り憑かれている―――そんな人がいる。 もちろん、想像力が衰えて視野が狭く、無知な自分を認めたがらないような頑固者なら、可哀そうに思えども理解はできる。 だが、第一線で活躍する知識人や学者で、ものごとを客観視できるはずなのに、この病気に罹っている人がいる。それどころか、その優れた知性を用いてコジツケを考えだし、論理を捻じ曲げ、のらりくらりと言い逃れる。 なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか? ずばりこのタイトルの書を読んだら、疑問が氷解した。 それと同時に、「謝ったら死ぬ病」は私も罹患していることが分かった。「あの人」ほどは酷く

    なぜ、あの人は、あやまちを認めないのか?
  • 認知言語学から小説の面白さに迫る『小説の描写と技巧』

    小説の面白さはどこから来るのか? 物語のオリジナリティやキャラクターの深み、謎と驚き、テーマの共感性や描写の豊かさ、文体やスタイルなど、様々だ。 小説の面白さについて、数多くの物語論が著されてきたが、『小説の描写と技巧』(山梨正明、2023)はユニークなアプローチで斬り込んでいる。というのも、これは認知言語学の視点から、小説描写の主観性と客観性に焦点を当てて解説しているからだ。 特に興味深い点は、小説の表現描写が、人間の認知のメカニズムを反映しているという仮説だ。私たちが現実を知覚するように、小説内でも事物が描写されている。 認知言語学から小説の描写を分析する 通常ならメタファー、メトニミーといった修辞的技巧で片づけられてしまう「言葉の綾(あや)」が、ヒトの、「世界の認知の仕方」に沿っているという発想が面白い。これ、やり方を逆にして、認知科学の知見からメタファーをリバースエンジニアリングす

    認知言語学から小説の面白さに迫る『小説の描写と技巧』
  • コーマック・マッカーシー5選

    くり返し読み返す作家は少ないが、コーマック・マッカーシーの作品はその中に入っている。特に『すべての美しい馬』は今度も何度も読み返すだろう。小説でしか伝えられない美と残虐を、確かに受け取ったと信じさせてくれるからだ。 アメリカ文学を代表する作家の訃報に接し、わりと衝撃を受けている。あたりまえなのだが、人生は期限つきであり、生きて、読んでいられる時間は思ったより短いことを、あらためて思い知らされたから。 ここでは、お薦めの作品を5つ、紹介する。世界には美と残虐が仲良く同居しており、剥き出しになった暴力と向き合うときにこそ、人間とは何かが見えてくる作品だ。 ザ・ロード 氏の作品を知らない人向けの入口となる一冊。他と比べると短めで、作風と世界観を味わうのにうってつけだ。 カタストロフ後の世界を旅する、父と子の物語。 ゾンビのいない終末世界だとこんな風になるのだろう。劫掠と喰人が日常化した生き残りを

    コーマック・マッカーシー5選
  • うんこを限界までガマンしたことがある人たちと、限界を突破した悲しみを知る全ての人たちに贈るアンソロジー『うんこ文学』

    うんこを限界までガマンしたことがある人たちと、限界を突破した悲しみを知る全ての人たちに贈るアンソロジー『うんこ文学』 大人になってから、うんこを漏らしたことがあるだろうか? 私はある。 が「彼女」だった頃、同棲先の彼女のマンションで漏らした。西友で買い忘れたものがあるという彼女を残して、鍋の具材を運んでいたときだ。 お腹の調子が悪かったのは覚えている。体の中心に熱泥が吊り下がるような感覚があった。西友のトイレを使わせてもらえばよかったことも覚えている。 だが、間に合うだろうと考えていた。目算を誤らせたのは、材の重さによる移動速度の低下と、彼女のマンションまでの道のりである。一緒に暮らし始めて間もないため、道を間違えたのだ。 真冬にも関わらず脂汗を流し、全身の筋肉を一点に集中させ、そのことだけは許されまいという思考だけが頭を支配し、奇妙にねじくれた足取りで、走るな、走れば破局だと言い聞か

    うんこを限界までガマンしたことがある人たちと、限界を突破した悲しみを知る全ての人たちに贈るアンソロジー『うんこ文学』
  • 骨しゃぶりさんと本屋を巡ったらめちゃくちゃ楽しかった話

    きっかけは、骨しゃぶりさんの「人付き合いって大事かなと思ったら読みたい3冊」。 確かに人付き合いは大事やなと思い立ち、骨しゃぶりさんとサシオフ(差しでオフ会)してきたらめちゃくちゃ楽しかった。 重要なのは、「リアルで会って話する」こと。表情や相槌を見ながら言葉や事例を選ぶことができるし、こちらのレスポンスの影響も即座に分かる。「読むことは人を豊かにし、話すことは人を機敏にし、書くことは人を確かにする」というけれど、読み書きが達者なブロガー同士が「話す」となると、面白い化学反応が起こる。 ChatGPTとスタニスワフ・レム 興味深い話になったのは、流行りの生成AI(Generative AI)ネタ。 文章で指定して画像を生成するのだが、私がやってもイマイチなやつしか出てこない(私の呪文がイケていない自覚はある)。 骨しゃぶりさんも、似たような悩みを抱えていたみたいだ。まず、別ソフトで3Dでポ

    骨しゃぶりさんと本屋を巡ったらめちゃくちゃ楽しかった話
  • 1冊の単語帳を610日かけて全読したら語彙力が1万語になった

    きっかけは、読書猿さんとの飲み会だった。 「海外の記事やSNSを読むのに英語力が足りない。しゃべれなくても書けなくてもいいけど、スラスラ読めるようになりたい」と愚痴ったところ、「まず2万語」と言われたのが最初だ。 語彙力こそパワー、ボキャブラリーを増やすぞとばかりに選んだのがこれだ。 理由は、英語を学んできた人たちの評価がダントツだったことが一つ。もう一つは、お試しで手にしてみたところ、「ちょっと難しいけれど、頑張れば読めないこともない」というレベルだった点だ。 書を610日間かけて読み切った結果はこうなる。Preply のボキャブラリーテストによると、ほぼ一万語に到達できた。 7870 words (2021年4月) 9944 words (2023年4月) ぶっちゃけ私一人では無理だった。初志は継続せず、どこかで挫折する理由を探し出していた。 だが、私を一人にしない技法を用いることで

    1冊の単語帳を610日かけて全読したら語彙力が1万語になった
  • たった一冊で「生活の質」を底上げする『TEST the BEST』

    どんな包丁を使ってる? 私は amazon で見つけたステンレスのやつ。「三徳包丁」で検索したら大量に出てきたので、上の方にあった値段が手ごろなやつを買った。10年以上も前の話だ。 毎日使っているのだが、研ぎ方が悪かったのか、切れ味がイマイチに感じられる。新調しようと amazon を覗いて、フと気づいた。 「三徳包丁」だけでも500種類ある 新しい包丁は、毎日使うし、ずっと使っていく 良いものが欲しいけど、お金はそんなに出せない 「価格」「刃渡り」「素材」などで、検索結果を絞り込むことはできる。絞り込んでも100種類ぐらいになる。買うのは一つだけで、買ったらそれを10年くらい毎日使っていくのだから、良いのがいい。 もちろん、それなりにお金をかければ、品質的には十分なものが手に入るだろう。だが日用品にべらぼうなお金は出せない。いつもと同じぐらいの値段で、その価格帯で最も私に合ったものを選び

    たった一冊で「生活の質」を底上げする『TEST the BEST』