→紀伊國屋書店で購入 「重なる視線が意味するもの」 いきなり「共視論」などと言われても何のことか想像がつかない。まるで〝一見さんお断り〟みたいなタイトルである。しかし、このテーマ、かなりの注目株ではないかと筆者は思っている。その可能性と広がりはなかなかのものだ。この論集では執筆者の中心は精神医学や心理学の専門家だが、今後もっと広い領域に影響を及ぼしてもおかしくないと思う。 そもそも「共視」とは何か。発達心理学にはjoint visual attention(直訳すると「共同注視」とか「共同注意」)という概念がある。ふたりがともにひとつの対象に目をやる行為のことである。このような行為をわざわざ概念化するのは、このジョイント・アテンションの発生が幼児の発達の中ではとても意義深いことと考えられているからである。誰かとともにひとつの対象をながめるようになることは、幼児の心において〝画期〟を成す。そ
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