日本インテリアデザイン史 [著]鈴木紀慶・今村創平 現在日本のインテリアデザインは、その質とユニークさにおいて、世界でもトップのレベルにある。しかし、今まで、その包括的な歴史をカバーする書物がなかった。その意味で本書は画期的であり、その意義は大きい。 しかし、読み終えて、なぜ、今までインテリアデザインの歴史が書かれなかったかも、納得した。一言でいえば、日本のインテリアデザイン自体が「歴史」というものが伴うはずの葛藤、その結果としての、ダイナミズムを欠いているのである。すなわち、日本のインテリアデザインはポスト「歴史」、ポストヘーゲル的な真空状態を漂っているのである。世界史を見渡してみれば、インテリアデザインとは、本来闘争の場だった。階級や貧富の差異、都市と地方との格差、様々な対立、ギャップが、インテリアという立場を通じてせめぎあっていたのである。 そのような緊張が、日本でも70年代の一瞬に
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