いまさら言うことでもないが、90年代とはじつに狂った時代で、ぼくはダンスの現場で何度も何度も衝撃を受けている。たとえば1992年のロンドンのジャングル、1993年のブリクストンでのジェフ・ミルズ、こうしたパーティではDJ/音楽もさることながら、集まっている人間たちの身体から吹き出る大量の汗と、なかば常軌を逸したパワーというかほとばしるエネルギーというか、その場全体の何もかもがぶっ飛び過ぎていた。で、えー、それから、フライヤーなしのイリーガルなレイヴ・パーティ(倉庫でも、あるいは野外でも)とか、ここでは書きたくない驚倒した経験がいくつもある。自分で言うのもなんだけど、そんな経験豊富なぼくにとって、とくに仰天したほどの経験が何だったかと言えば、1997年9月にマイク・バンクスの案内で侵入した、デトロイト市内のゲットーテックのパーティだった。 いや、あれを「経験」とは言えないな。どんなに狂ってい