2010年06月26日 【前編】ポピュラー音楽における〈東京〉の表象――歌謡曲・Jポップ・ヒップホップ(試論) 昨日の発表では外部の方も来ていただいて、その方から教えていただいた論考を読んだ。見田宗介の『まなざしの地獄』(河出書房新社)に入ってる「新しい望郷のうた」というやつなんだけど、書誌を見たら『現代日本の心情と論理』(筑摩書房)に収録とされているので、以前、ポピュラー音楽論を書いたときに、目を通しているはずである。しかし、まったく覚えていなかったみたいで、今回もまた前回と同様、新鮮な気持ちで読めた。なるほど、60年代の歌謡曲で歌われた〈家郷〉がすでに「あたらしい望郷」、「未来の〈家郷〉」ならば、昨日の発表の論旨も少し見直しが必要だけど、せっかくなのでざっと報告。 〈家郷〉云々は別として事後的に考えると、中心となるのは、〈東京〉が広告都市となり記号性が高くなったとき、それぞれの音楽ジャ
今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔10月12日号掲載〕 東京という街を宣伝する史上最高の広告。これを作ったのは日本人ではない。ギリシャ出身の無名の監督とアメリカの超人気アーティストだ。 霞が関のお役人の中で、ファレル・ウィリアムスの名を聞いたことがある人はそう多くはないだろう。だがウィリアムスは世界的なスター。73年生まれで、知名度においても影響力においても、同世代のアーティストの中では抜きんでた存在だ。多才な人物で、ラッパーであり歌手であり、ヒット曲を数多く手掛けたプロデューサーであり、作曲家であり、デザイナーとしての実績もある。 要するに、ウィリアムスは流行の最先端にいる人間ということになる。一歩先を見て、食べ物や音楽、旅行先のトレンドを動かす「世界のトレンドセッター」であり、世界中の若者たちが彼の意見に耳を傾ける。宣伝マンとしてはこれ以上望むべくもない存在だ。 そしてありがたい
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