「私のところに来たからには、もう大丈夫だよ」。 実在の事件をもとに作られた映画『あんのこと』で河合優実さんが演じたのは、幼い頃から実母に虐待を受けて育ち、21歳で薬物依存症となっていた主人公の杏。脚本を読んだとき、河合さんは杏にそう語りかけずにいられなかったと振り返ります。 「最初に脚本を受け取ってすぐに、『私がこの役をやるべきだ』『絶対に届けなきゃ』と思ったわけではないんです。そんなに簡単なものではありませんでしたから。それでも、この女性を私が守りたいと思ったし、これから心の中で彼女と手を繋いでやっていこう、という気持ちになったのを覚えています」 俳優として、役のモデルとなった女性を守る。それは、できる限り相手を尊重することでもあったそう。 「普段の私は美味しいごはんも食べられるし、愛情をくれる家族もいる。ジャーナリストや誰かを支援する仕事に就いているわけでもありません。俳優という立場か