原稿のテーマ「日本の彫師はいつから認められてきたのか」は、編集部から寄せられたものだ。執筆に乗り気になったのは、お題のあいまいさに惹かれたからだ。編集部は、「彫師は認められている」と思いこんでいるが、結論をいえば、「日本の彫師は認められてきた。でも、認められていない」である。 二つの側面に分けて考えないと、この問題は混沌としてしまう。ひとつは海外からの視点であり、もうひとつは日本の歴史や社会のなかでの彫師やイレズミの位置づけだ。海外の彫師や彫りたい人々にとっては、日本の彫師やその技術、作品は羨望の的である。だが、日本社会において、現代美術ではともかく、イレズミは社会的には認められていない。いや、美術として本当に認められているのかどうかも怪しく、研究すらキワモノ扱いされている。「海外からの熱い視線」と「日本での位置づけのあいまいさ」という二つの側面には、大きな亀裂がある。その裂け目を埋めるは
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