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ブックマーク / note.com/ruiu (5)

  • IPv6がなぜいまだに普及していないのか|Rui Ueyama

    現在のインターネットの基をなしているIPv4というプロトコルには、広く知られた大きな欠点がある。パケットのアドレスフィールドの幅が32ビットなので、ネットワークに接続可能なホスト数の上限が2³²(約43億)になってしまっているのだ。その欠点を修正するために、1990年代後半にIPv6という新たなプロトコルが設計されたのだけど、いまだにインターネットではIPv6は少数派で、主流ではいまだにIPv4が使われている。 1990年代当時は、IPv6は規格を策定すれば比較的すぐに普及するはずで、それによってインターネットが抱えているアドレス枯渇の問題が解決されるという雰囲気だったように思う。1998年にタイムトラベルして、20年たってもまだIPv4を置き換えることに成功していないと当時の人のIPv6推進者たちに教えたら、多分すごくびっくりされるだろう。一体どうしてこんなに普及が遅れてしまったのだろ

    IPv6がなぜいまだに普及していないのか|Rui Ueyama
    unijam
    unijam 2019/11/05
  • ソビエトロシアの3進コンピュータ|Rui Ueyama

    ロシア人の同僚に、ロシアには3進コンピュータがあったらしいよね、という話をしたら、僕の大学の教授がそのコンピュータの発明者と一緒に仕事してたよ、と言われたことがあった。ソビエト連邦には3進数のコンピュータが実際にあったのだ。その奇妙な機械についてちょっと書いてみよう。 普通の2進コンピュータでは、数の1桁を1ビットといって、1ビットで2つのパターンを表すことができる。同じように、3進コンピュータでは、数の1桁をトリット(trit)といって、1トリットで3つのパターンを表すことができる。 3進コンピュータで最も興味深いのは、負の数を表すための特別な符号ビットがいらないことだ。2進コンピュータでは最上位ビットが1なら数全体が負を表している、みたいな特別なルールが必要なのだが、3進コンピュータでは、各桁が-1, 0, 1のどれかを表していることにすれば、自然と負の数が表現できてしまう。 説明をコ

    ソビエトロシアの3進コンピュータ|Rui Ueyama
  • エレベータに見るアルゴリズムの性能と公平性のバランス|Rui Ueyama

    現実世界でもコンピュータの中でも、何らかの性能指標だけを追求すると参加者にとって極端に不公平になってしまうことがある。例えばエレベータとHDDは共通点がありそうに思えないが、この2つは性能特性的にとてもよく似ていて、リーズナブルな性能と公平性を両立させるために同じ制御方法が使われている。これについてちょっと説明してみよう。 1基しかない場合のエレベータの動き方は単純だ。一度上に動き出すと、上で待ってる人や降りる人がいる限り上昇し続ける。同じように、一度下に動き出すと、下で待っている人や降りる人がいる限り下降し続ける。これ以外の動き方をするエレベータはまず存在しないので、これが唯一の制御方法のように思えるけど、別にこうしなければいけないというルールはない。 エレベータの平均待ち時間を最適化することを考えてみよう。そうすると、一方向に動き続ける代わりに、エレベータが現在存在する階に一番近い人の

    エレベータに見るアルゴリズムの性能と公平性のバランス|Rui Ueyama
  • オーバーフローが引き起こした面白いバグの話|Rui Ueyama

    一度聞いたら忘れられないような印象深いバグというものがある。僕は数値のオーバーフローと聞くと必ずこの2つのバグを思い出してしまう。どちらも面白いエピソードなのでちょっと紹介してみよう。 一つ目は、初代Civilizationにあったバグである。Civilizationは文明間で戦う戦略シミュレーションゲームで、チンギスハンとかエリザベス女王みたいなプレイヤーを選んで、世界制覇か宇宙開発競争での勝利を目指すというゲームだ。 初代Civilizationにあったバグは、非暴力主義のガンジーが突然核攻撃してくるというものだった。原因は文明が民主主義を採用すると攻撃性が2下がるというロジックだった。初代Civではガンジーの攻撃性は全プレイヤー中で最小の1なのだが、ゲームが進んでインド文明が民主主義を採用すると、攻撃性がマイナス2されてオーバーフローで255になり、ガンジーがゲーム中で突如、極度に攻

    オーバーフローが引き起こした面白いバグの話|Rui Ueyama
  • 絵文字がある種のUnicodeバグを世界から一掃しつつある件について|Rui Ueyama

    UnicodeのUTF-16エンコーディングではほとんどの文字(コードポイント)は2バイトで表現されるが、Unicodeに後から追加収録された文字の多くは4バイトで表現される。4バイト文字がうまく扱えないプログラムというのはわりとよくある。しかし世界中で広く使われるようになった絵文字がよりによって4バイト文字であるせいで、そのような文字が扱えない問題がよいペースで解決に向かいつつある。それについて少し説明してみようと思う。 Unicodeが80年代から90年代初頭にかけてデザインされたときの目標の一つは、Unicodeに含まれる文字数を65536個以内に収めることだった。現代の文章を実用的なレベルで表すためには、漢字などを含めてもそれだけの種類の文字があれば十分だと考えられたのだ。当然これは1文字を2バイトで表すことを念頭に置いていた。つまりコンピュータの揺籃期から当時に至るまで単純に英語

    絵文字がある種のUnicodeバグを世界から一掃しつつある件について|Rui Ueyama
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