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ブックマーク / honz.jp (112)

  • 『なめらかな社会とその敵』生命の起源から、300年後の未来を構想する - HONZ

    夢を語ればその動機を問われ、信念を論ずればその根拠を訊ねられる。病があれば病因を探りはじめ、事故があれば責任の所在が追及される。とかくに人の世は、結果と原因の究明に忙しい。 しかし世界は、原因と結果の連なりに回収できるほど単純にはできていない。いかにもはっきりとした原因と結果の連鎖も、それは辿っていくうちに、複雑に絡みあう世界のネットワークの中に消散してしまい「起源への遡行」は未遂に終わる。そうしてあらためて世界が、互いに支え合う無数のものたちが縁起する、大きな網だったのだと気付く。 想像してみてほしい。ここに網がある。その網をつぶさに眺めていても、そこには始点も終点も見出せない。ところが、この網を一部ちぎりとってみると、ちぎられた網は、何ヶ所かで枝分かれをした、樹(ツリー)の構造になる。そこではじめて始点と終点を、原因と結果を、過去と未来とを語ることができるようになる。 原因と結果、ある

    『なめらかな社会とその敵』生命の起源から、300年後の未来を構想する - HONZ
  • 『キャパの十字架』 - 沈黙のミステリー - HONZ

    そんな静かな書き出しに誘われてこの写真を目にした時には、この構図、この画角、太陽の位置、山の稜線、銃の角度、兵士の影に、ここまで深い意味が含まれているとは想像できなかった。ましてや一人の男の生きた軌跡が、陰影まで刻みこまれているとは… 「崩れ落ちる兵士」 ー それは写真機というものが発明されて以来、最も有名になった写真の一枚である。中でも、写真が報道の主要な手段となって発達したフォト・ジャーナリズムの分野においては、これ以上繰り返し印刷された写真はないとも言われてきた。 スペイン戦争時に共和国軍兵士が敵である反乱軍の銃弾に当たって倒れるところを撮ったとされるこの写真は、雄弁であった。やがて崩壊するスペイン共和国の運命を予告するものとなり、実際に崩壊してからは、そのために戦った兵士たちの栄光と悲惨を象徴する写真となって世界中に広く流布されることになるのだ。 だが、この写真を撮ったとされるロバ

    『キャパの十字架』 - 沈黙のミステリー - HONZ
  • 『階級「断絶」社会アメリカ』 アメリカン・プロジェクトの終焉 - HONZ

    このは、2012年1月に発売された『Coming Apart』の邦訳である。書は、発売直後からニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリートジャーナルなどの高級紙に軒並み書評が掲載され、全米で大きな反響を集めた。ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマンがブログで批判的コメントをする一方、『マネーの進化史』のニーアル・ファーガソンは肯定的意見を寄稿するなど、その反響は賛否の入り混じったものだった。米国の二極化に警鐘を鳴らす書を巡って、米国言論界は二分されたのである。 著者は保守系シンクタンクAEIの研究員チャールズ・マレーである。彼は1994年に共著者として、人種によるIQの差異を指摘する『Bell Curve』を出版し、これまた大論争を巻き起こした経験を持つ。そんなマレーの最新作である書の重点は、アメリカがどれほど断絶してしまったのかを明らかにすることに置かれている。 書が大きな論争

    『階級「断絶」社会アメリカ』 アメリカン・プロジェクトの終焉 - HONZ
  • 『機械との競争』テクノロジー失業の時代が迫っている - HONZ

    2013年のベスト装丁賞はこので決まり!表紙やデザインも美しいけれど、このは写真で見るよりも、実際に手にとってもらったほうが、より素晴らしさがわかるだろう。写真ではわからないと思うが、カバーと体の両方に凹凸があるのだ。カバーの一部に凹凸があるはよくみかける。しかしカバーを外したとき、体にまで凹凸があるはあまりみたことがない。 このにいたっては、背表紙にまで凹凸があって驚いた。ぜひ店頭で手にとって造の素晴らしさを体感してほしい。これが棚にあったらかっこいいと思う。それだけでも買う価値あるのではないだろうか?家の棚では面陳(表紙をみせて陳列する方法)にして置いておきたい。と、つい装丁の素晴らしさを力説してしまった。 装丁も素晴らしいが、内容もまた刺激的なのである。このでは情報技術が雇用、技能、賃金、経済に及ぼす影響が論じられている。中心となるトピックは景気が回復しても、失

    『機械との競争』テクノロジー失業の時代が迫っている - HONZ
  • 言語の力は7%か?『言語の社会心理学』 - HONZ

    タイトル『言語の社会心理学』だけでは、抽象的で伝わらないし、内容の推測も難しい。しかし、装丁と帯をよく見てみると、書のことを伝えようとする気迫が伝わってくる。 副題は「伝えたいことは伝わるのか」 帯には、「ことばは「文字どおり」には伝わらない」 背表紙からは、「伝えたいのに伝わらない」 裏返すと、「伝えたいことを伝えるために」 ここまで何度も伝えられれば、さすがにメッセージが伝わってくる、「あなたも(伝えたいことが伝えられないなら)、買ってください」と。どうでもいいが、既に「伝」の漢字を15回も使っている、この後が不安だ。 著者は、ことばとコミュニケーションに関して社会心理学的な立場から研究をしている。就活の面接対策でよく話題になるメラビアンの法則では言語の力は7%に過ぎない(口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%)と言われているが、そのことについても、正しく

    言語の力は7%か?『言語の社会心理学』 - HONZ
  • 『インフォメーション: 情報技術の人類史』 すべては情報から生まれる - HONZ

    1845年元日の早朝、ロンドンに向かう列車の中に息を押し殺す男がいた。その男の名は、ジョン・タウェル。列車に飛び乗る直前、彼は愛人のセアラ・ハートを毒殺していた。今ごろ警察が殺人に気がついたとしても、大都会ロンドンの雑踏に身を潜めれば逃げ切れる、この殺人犯はそう考えていた。しかし、彼はあっけないほど簡単に捕まってしまう。ロンドンの警官たちが、駅でタウェルの到着を待ち構えていたからだ。 19世紀中ごろ、列車は人にとっても情報にとっても最速の移動手段であった。ではなぜ、ロンドンの警官はタウェルが殺人犯であることを彼の到着より早く知っていたのか。それは、この事件の前年に設置された電信線によって、殺害現場からロンドン警察へ犯人の特徴を伝える連絡が入っていたためだ。後から追いかけてきた情報が列車のタウェルを追い越し、彼は世界で初めて電信によって処刑された男となったのである。 情報の伝達速度がヒト(も

    『インフォメーション: 情報技術の人類史』 すべては情報から生まれる - HONZ
  • 複雑さとは脆弱さである。『Xイベント』 - HONZ

    突如として起こる、システムを崩壊させる極端な出来事。著者はこれを「Xイベント」と呼ぶ。そして世界が複雑化すればするほど、予測不能なXイベントは起こりやすくなる。すなわち、現在、人類はXイベントに対して極めて脆弱な状態にあるというのだ。 ハリケーン・カトリーナの被害、9.11テロ、サブプライム住宅ローン危機、2003年の東海岸大停電などが、著者が挙げるXイベントの例である。現代は、「ひとつのシステムが別のシステムの上に築かれ、そのシステムはまた別のシステムの上に築かれていて、あらゆるものが、他のあらゆるものにつながっている」状態にある。電力、水、料、通信、輸送、医療、防衛、金融までもが密接につながり、そのどこかで、Xイベントが起これば、影響は他のシステムを深刻な事態に巻き込むことになり、下手をすると、すべてのシステム、すなわち人間の文明自体の崩壊にまで至る可能性があるという。 そして、こう

    複雑さとは脆弱さである。『Xイベント』 - HONZ
  • 『吉田神道の四百年』 “神使い”の人びと - HONZ

    書は、室町時代後期より400年に渡り神道界に大きな影響を及ぼした “神使い” 吉田家の歴史を描いたものだ。吉田家は、亀卜を行う神職の家系卜部(うらべ)氏の系統で、『徒然草』の吉田兼好もこの一族になる。吉田神道は、京都の神主であった吉田兼倶(かねとも)によって構想された。「唯一神道」「卜部神道」とも言われる。 1468年、応仁の乱の戦火で吉田神社が焼け落ちた後、兼倶は動き出す。 まずは、自邸内にあった「斎場所」を吉田山に移転した。兼倶はこの斎場所を「日最上神祇斎場」と呼び、神武天皇が橿原に都して以来、代々日中の神を祭ってきた「神社の総山」であると宣言した。移転に際しては、後土御門天皇からは「日国中三千余座、天神地祇八百万神」と記した勅額を頂いた。 そんなことができたのは、兼倶が朝廷の祭祀を担う役所である「神祇管」の最高位の祭官(神祇管領長上)だったからだ。兼倶は、自らの神道を「元

    『吉田神道の四百年』 “神使い”の人びと - HONZ
  • 『昆布と日本人』 コンブって、地味だけどすごいんです。 - HONZ

    表紙は3の干し昆布を並べただけという何とも飾り気のないだが、なかなかどうして読ませる一冊。さながら、140年を誇る昆布商の主人が語る「昆布民俗学」の決定版と呼べるほどの充実した内容だ。 この黒くて地味な昆布、実は日の近代化にも一役買っている。古くから蝦夷地でされていた昆布がポピュラーになったのは江戸時代後半。松前(北海道)と大坂を往復しながら物資の売却をする船は「北前船」(きたまえぶね)と呼ばれ、その船荷の中で重要な地位を占めたのが昆布だった。 江戸城の修築、木曽川治水工事など、幕府から莫大な出費を命ぜられたうえ、領地は火山灰地で農業の生産性も低く、常に財政は火の車―18世紀、そんな薩摩藩が目をつけたのが昆布だった。鎖国下にありながら、外様大名の薩摩藩は琉球王国とまず貿易を行い、その後、琉球王国と朝貢貿易を行っていた清国(中国)といわゆる「抜荷」(ぬけに)とよばれる密貿易を始める。

    『昆布と日本人』 コンブって、地味だけどすごいんです。 - HONZ
  • 『IKEAモデル』 - それはモデル演繹型の経営。 - HONZ

    IKEAモデル―なぜ世界に進出できたのか 作者: アンダッシュ・ダルヴィッグ, 志村 未帆 出版社: 集英社クリエイティブ 発売日: 2012/11/26 低価格の北欧風デザイン家具販売店として、グローバルで成功を続けるIKEA。書『IKEAモデル』は、2009年までCEOを務めた著者が、その経営モデルを網羅的に綴ったものだが、読んでみて非常によく分かった。「IKEAモデル」とは、要するにコスト削減の王道を極めることなのだと。 王道は、極論すればつまらない。でも、王道の完遂は決して容易ではない。IKEAはそれを、一切ぶれることなく完遂してみせた。そして、いまやその王道は「IKEAモデル」というイノベーションにまで昇華した。それこそがきっと、IKEAの真の凄みなのだ。 具体的にみていこう。 出発点はIKEAの理念だ。それはシンプルなワンフレーズに、見事に集約されている。 「より快適な毎日を

    『IKEAモデル』 - それはモデル演繹型の経営。 - HONZ
  • 『群れのルール』 プレジデント9.13号 新刊書評掲載 - HONZ

    書の骨子は、ネット時代には新しい経営学や組織論が有効であり、そのためには生物学の知識が役に立つというものだ。しかも、この場合の生物学とは、個体の研究ではなく、群れとしての生態を観察することだというのだ。 例をあげてみよう。5つの選択肢をもつ超カルト・クイズを考えてみる。回答者は5つのうち、どれか1つだけは不正解であることを知っていることにする。個人が正解する確率は25%だ。 しかし、集団の正解率は100%近くなるはずだ。正解だけは20%以上の得票を得るからだ。つまり、集団の中から正解を出せる人を選ぶのではなく、集団として意思を決定させれば、正解率は跳ね上がることになる。 ネット時代にはそのような意思決定が、会社のような組織においても、社会レベルでも瞬時にできるようになった。 書は前半で、サウスウェスト航空の予約システム戦略、赤アリの組織的行動、産業用ガス会社の生産・配送システム、ミツバ

    『群れのルール』 プレジデント9.13号 新刊書評掲載 - HONZ
  • 『値段から世界が見える!』新刊超速レビュー - HONZ

    海外旅行に行くときに気になるのは、気候や気温、安全性やお国柄、もうひとつ重要なのが物価である。そこならではのお土産が買いたいし、できれば町の堂でご飯もべたい。屋台では何を売っているのだろう、とか、マクドナルドやケンタッキーなど、日の味と比較もしたい。もちろん、ガイドブックをみれば大まかなところは分かるけれど、一目で比較が出来たらいいのに。 長年、そんなが欲しいと思っていたのだが、最新情報を記したを見つけた。世界20か国に長期に住んでいる日人が、生活にかかるコストやその国ならではのお金の使い道をかなり詳しく説明してくれる。 紹介されている国は、オーストラリア、スウェーデン、イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、オランダ、韓国、ポーランド、ケニア、アフガニスタン、アラブ首長国連合、インド、中国、ペルー、カナダ、ウズベキスタン、スイス、アメリカ。 基準となる品物は、ビッグマ

    『値段から世界が見える!』新刊超速レビュー - HONZ
  • 『文藝春秋』 今月買った本 - HONZ

    まだ3年もたっていないのに、ドバイの話などは古い感じがする。 ——————————– 祇園町で遊ぶたびに不思議に思っていたことがある。あちこちに張ってある「蘇民将来之子孫也」という紙のことだ。札幌生まれの筆者には意味がわからない。蘇といえば古代のチーズだったはずだ。じっさい祇園町にあるKという料理屋でもべさせてくれる。チーズをつくる民の将来は子孫繁栄とでもいうのであろうか。 『牛頭天王と蘇民将来伝説』はこのおろかな疑問を解決してくれた。牛頭天王とは半牛半人の姿をした祇園精舎の守護神のことであり、蘇民将来はその神を助けた人物だというのだ。牛頭天王は蘇民将来に感謝し、その子孫まで守護すると約束したため、人々は自分がその印であるお札を貼るというわけだ。 この牛頭天王伝説が明治時代にスサノオ伝説と習合され、京都の祇園社は八坂神社と名前をかえさせられた。書ではこのメインストーリー以外にも牛頭天王

    『文藝春秋』 今月買った本 - HONZ
  • 『未来への周遊券』 - HONZ

    著者のお2人には大変失礼なのだが、書こそトイレにおいておきたいはない。2008年から産経新聞に連載されていた往復書簡をまとめたものだ。見開き1ページに1通の書簡が収められている。書を一気に読むことをおすすめしない。それゆえにトイレにぴったりのになのだ。 『パラサイト・イヴ』で鮮烈にデビューした瀬名秀明と、『星新一』で多くの賞をとった最相葉月のコンビだから科学・技術SF好きにとって楽しくないわけがない。あらゆる話題が書簡形式であるがゆえに、柔らかい言葉で語られる。 黄砂、レッドスプライト、マイクロスラスター、シャベロンなど魅力的な先端科学が語られる日もある。『おさるのジョージ』のH・A・レイや『ピーターラビットのおはなし』を語る日もある。瀬名が習得中の飛行機操縦と最相が見に行った自転車レースの日もある。 往復であるからテーマがゆっくりと変化していく。過ぎていく時間を読むという不思議

    『未来への周遊券』 - HONZ
  • 『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』薄一族の野望と挫折 - HONZ

    2月6日、前代未聞の事件が起きた。中国重慶市の副市長の王立軍がアメリカ領事館に逃げ込んだ。地方政府とはいえ共産党幹部がアメリカに助けを求めたのだ。それも、女装姿で他人に借りたジープを駆って。 「薄熙来に殺される」。 ハリウッド映画もびっくりの展開だが、これは当時の重慶市のトップだった薄熙来とそのファミリーが世界を震撼させる序章に過ぎなかった。王立軍が薄熙来の不正蓄財や国家指導層まで対象とした盗聴、重慶市での冤罪事件の数々の証拠を抱えていたからだ。おまけに薄熙来のの谷開来が英国人二ール・ヘイウッドの殺人に関与している物証までも持参していた。 その後の展開は日でも報じられたのでご存知だろう。公に出来ないことが多すぎるのか、話題はの殺人事件に集中。この殺人事件も真相は不明だが、「5000億円とも言われる不正蓄財のもつれで共産党幹部のがマネーロンダリングを委託していた英国人を殺した事件」と

    『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』薄一族の野望と挫折 - HONZ
  • 『スタンフォードの自分を変える教室』≒意志力の科学 - HONZ

    このレビューの最中はシロクマのことを考えないようにしてください。 そんなことを言われなくても、シロクマのことなんて普段から意識したことないし、考えたことなんてないよ。と、読んでいる人の大半が思っているに違いない。それならなおのこと、シロクマのことを考えないで、この先のレビューを読み進めてください。 このはスタンフォード大学の人気講座である『意志力の科学』をもとに作られたである。このが発売以来飛ぶように売れている。そんなにみんな自分の人生を変えたいと思っているのだろうか?などといいながら、自分も買って、こうしてレビューを書いているのだから、人のことは言えないのだけれども……。 『スタンフォードの自分を変える教室』 というタイトルをみると、ただの自己啓発書のような感じがするが、このはそうではない。原題は『The Willpower Instinct』直訳すると「意志力の能」だろうか。

    『スタンフォードの自分を変える教室』≒意志力の科学 - HONZ
    ushiwatat
    ushiwatat 2012/11/03
    ジェーン・マクゴニガルと姉妹だそうな。
  • 『サルコジ』マーケティングで政治を変えた大統領 - HONZ

    書の前半は現フランス大統領、ニコラ・サルコジを主役にした、ロマンスと陰謀が渦巻くドタバタ喜劇だ。1996年、サルコジはW不倫の果てに前離婚した。新しい、セシリアは内務相となったサルコジの仕事に口を挟むどころか、省内に執務室を構え、人事にまで介入し始める。国庫から直接引き落とされるクレジットカードまで作っていたという。 ところが、そのとは不倫を理由にまた離婚。首尾よくサルコジはスーパーモデル、カーラをにするのだ。そのカーラの男性遍歴は奔放そのもので、エリック・クラプトンからミック・ジャガーまで登場する始末だ。 ついに大統領府に入ったカーラは、それまでセシリアの寵愛を受けていた側近を一掃する。歌舞伎やシェークスピア作品を現代風に脚色したのではない。すべて実話であり、進行中なのだ。 書の後半は、この特異な国家元首サルコジの政治手法とその分析にあてられる。野党は一釣りでズタズタにさ

    『サルコジ』マーケティングで政治を変えた大統領 - HONZ
  • 『終身刑の死角』 - HONZ

    昨年5月15日に「量刑制度を考える超党派の会」が発足している。会長は加藤紘一、森喜朗が最高顧問。副会長には鳩山由紀夫や亀井静香、古賀誠、中川秀直、浜四津敏子が就任している。書はその動きに対して阻止せんとして、ブログでも紹介した『日の殺人』の著者で、法社会学者の河合幹雄が書き下ろしたものだ。ちなみに著者のお父上は河合隼雄だ。 http://d.hatena.ne.jp/founder/20090612/1244765615 あいかわらずの筆致だ。まずはきちんとした統計を持ち出して現状を客観的に理解しようとする。第1章の殺人事件についての記述は『日人の殺人』と重複するところもあるのであえて紹介しない。「日の刑務所」という第2章から興味深い記述を紹介してみよう。 警察が身柄か書類を検察庁に送る、いわゆる送検数は年間220万件もある。このうち起訴されるのは14万件、執行猶予なしの実刑判決

    『終身刑の死角』 - HONZ
  • 著者インタビュー『第三次産業革命』ジェレミー・リフキン氏 - HONZ

    世界を前に前に推し進めようと理想を掲げ、社会を煽動し、時代を先導しようと自ら行動する活動家、そんな印象をジェレミー・リフキン氏のこれまでの著作を眺めていると感じる。そして、今回はその集大成とも言えそうな『第三次産業革命』と銘打った書籍を出版、日でもつい3ヶ月前に出版されました。書評はこちらから。 第三次産業革命は世界中に散在する課題を解決するために、経済・社会など従来のパラダイムを大きく変えることを標榜しています。リフキン氏は、第三次産業革命によって予測できる未来を語るだけでなく、自らの仲間とともに世界を巻き込み、手足を動かし、構想を現実化しようとアクションしています。 そんな革命の最前線の話を聞くべく、Eメールを通じてインタビュー。今、世界が注目する話題、再生可能エネルギー、BoPビジネス、Makersブーム、この3つに関する問いを投げかけてみた。次なる産業革命(第四次!?)の可能性も

    著者インタビュー『第三次産業革命』ジェレミー・リフキン氏 - HONZ
  • すべらない授業 - 『これが物理学だ!』 - HONZ

    大量のアクセスとともに「Webスター」の称号も手に入れた、あの名物教授の講義がついに書籍化された。 MITの物理学者ウォルター・ルーウィン。彼の講義は、まるでロックスターのように教壇上をところ狭しと駆け回り、大教室をまるでサーカスのような興奮のるつぼと化してしまう。決め台詞は「その目で見ただろう?これが物理学だ!」。 その熱狂は、学内のみに留まるわけもない。MITのOCW(オープンコースウェア)プロジェクトが彼の講義ビデオをウェブ上に公開すると、またたく間にこの授業は世界中に知れ渡ることとなった。 その人気の秘密は、教室を一瞬で非日常空間へと変えてしまう、大規模なデモンストレーションにある。5メートルの椅子のてっぺんに腰掛け、床に置いたビーカーのクランベリージュースを、試験管で作った長いストローで吸い上げる。あるいは、大怪我の危険を冒して、小さいながら破壊力のある解体用鉄球の軌道上に自分の

    すべらない授業 - 『これが物理学だ!』 - HONZ