メキシコ・ユカタン半島のマヤ遺跡を調査。セノーテと呼ばれる聖なる泉と、ピラミッド「エル・カスティージョ」の謎に迫る。 文=アルマ・ギエルモプリエト/写真=ポール・ニックレン、ショール・シュウォーツ 中米で栄えたマヤ文明。石のピラミッドを築き、精緻な暦を作ったマヤの人々は、セノーテと呼ばれる聖なる泉と洞窟に、雨の神チャクが宿っていると信じていた。 今でもメキシコのユカタン半島では、農民たちが供物を捧げて神に祈り、雨乞いの儀式を行う。 考古学者たちはここ20年ほどの間に、これらの洞窟やセノーテ、そして太陽の天頂通過といった現象に注目するようになった。 マヤの人々の信仰や世界観に、セノーテはどのような役割を果たしていたのだろう。洞窟とセノーテが、雨の神チャクが住む異界への入り口だと考えられていたことはわかっている。だがその事実と、マヤ文明を代表する都市遺跡、チチェンイツァの建造物や都市計画との関