一目見て他と区別できる独自の風格ある印刷書体で、本好きなら嫌いな人はいないだろうと思われる印刷会社精興社は、東京都八王子市にある。活版印刷は平成7年(1995)でもって廃止されたものの、その独特の「精興社書体」は写植文字に移され、いまなお群を抜く美しさで本を読む愉しみの土台を支えている。 名刺など比較的簡易な印刷にはいまだ活版が用いられる場面が多いようだが、商業出版(とくに一般的な書物)では、すでに大半が写植組―オフセット印刷に移行している。だからまれに活版で刷られた書物に出会ったりしようものなら、思わず凸凹を指でなぞったり紙面の匂いを嗅いだりしながら幸福感に満たされる。 昨日も触れた松田哲夫さんの『印刷に恋して』(晶文社)にもあるように、活版印刷技術は、極端に言えばもはや伝承技術として保存対象となるべきものとなりつつあるのである。この精興社の来し方と現在の取り組みについては、最近では、南
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