銀行を目指して「就活」する学生は少なくない。めでたく就職していった卒業生の話を聞くと、銀行員になると、研修でまずは「行員としての数字」が手できちんと書けなければならないと教わり、お手本の数字を元に、何時間もひたすら書き取り練習をさせられ、その数字の形が身に付くのだという。やっと前期を終え、1000名を超えた受講生の採点のために、数字を自己流に、それさえも乱れがちな形で書いている身には、耳が痛い話だ。 ここまでの2回(第42回、第43回)で、子供のころに見て以来、失われていた記事との巡り逢いについて記したが、もう二度と見つけることはできないだろう、と諦めているものもある。その一つが、銀行の数字の形に関する1、2ページの記載である。切り取っておけば良かったと後悔しているが、それを見たのは小学生のころだったのかもしれない。 新聞社か銀行の広報誌やパンフレットだったか、無料で配布される薄く小さな冊