新字の「仐」は、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。旧字の「繖」も、常用漢字でも人名用漢字でもないので、子供の名づけに使えません。こんな妙なことになってしまった原因は、俗字の「傘」が常用漢字になってしまったからなのです。なお、新字の「仐」と俗字の「傘」は、いわゆる象形文字ですが、旧字の「繖」は、サンという音を「散」で表した形声文字だと考えられます。 昭和17年6月17日、国語審議会は標準漢字表を、文部大臣に答申しました。標準漢字表は、各官庁および一般社会で使用する漢字の標準を示したもので、部首画数順に2528字が収録されていました。標準漢字表の人部には「傘」が含まれていて、その直後に、カッコ書きで「仐」が添えられていました。「傘(仐)」となっていたわけです。簡易字体の「仐」は、「傘」の代わりに使っても差し支えない字、ということになっていました。一方、旧字の「繖」は