本章では、足下の世界的なインフレは供給不足による側面が強いこと、インフレ緩和には設備投資等による供給力強化や生産性の向上、サプライチェーンの強靱化が重要であることを示す。 また、貿易の開放は生産性の上昇を通じて経済成長につながる一方、貿易相手国の不確実性は自国の貿易に負の影響を与えること、ただし、自由・民主主義・人権・法の支配といった基本的価値を尊重する貿易相手ほど、不確実性の高まりによる貿易減少効果が小さいことを示す。 そして、諸外国における経済安全保障政策を概観するとともに、自由で公正な貿易秩序と経済安全保障の両立に向け、我が国としてはルールベースの国際貿易秩序の再構築、有志国との信頼できるサプライチェーンの構築、グローバル・サウスとの連携強化の取組を同時に進めることが重要であることを示す。 また、持続可能で包摂的な経済成長及び発展の確保に向けた取組として、気候変動リスクへの対応や人権