‘23年12月2日(土) フォード政権当時、キッシンジャー 国務長官は冗談めかして記者団に語った。 「来週、危機は何も起こらないからね。 私のスケジュールはもうぎっしりだ」 ◆ソ連とせめぎ合った冷戦当時である。 米国の外交を表から裏まで切り回した 人の自負がうかがえる。 力の均衡に立脚した緊張緩和を 推進し、ノーベル平和賞を受賞した キッシンジャー氏の死去が伝わった。 100歳だった ◆著書「外交」に次の記述がある。 <彼は自身の余命をもとにした 時間表に従って争乱を求め、 破滅の道を突き進んだ>。 「彼」とはヒトラーである。 ◆氏が示してみせた独裁者像は、 21世紀の今日にもある。 憲法まで改正し、寿命が尽きるまで 大統領であり続けようとする ロシアのプーチン氏も、危険な 「時間表」の持ち主だろう。 自身の野望のため争乱をいとわない ◆キッシンジャー氏は中国政治に ついても早くから見抜い