‘19年10月31日(木) 「今は逃げているけど、 家に連れて帰って くれるよね」。 緒方貞子さんは9歳ぐらいの 男の子に言われた一言が忘れ られなかった。 男の子はコソボ紛争で発生した 難民の1人。 「もちろん」。緒方さんはそう 答え、頑張らなければと思った。 『緒方貞子 戦争が終わらない この世界で』(NHK出版)で 述べている ▼緒方さんが92歳で逝った。 60歳を過ぎて国連難民高等 弁務官に就任。隣国に入国を 拒まれ、イラク国内に とどまるクルド人避難民の 支援を決断した。 従来の難民救援は 国外に逃れた人が対象で 前例がなかった。 理由は一つ。命を守るため だった。 国境は関係なかった ▼常に現場を重視し難民の 声を聞いた。重さ15㌔の 防弾チョッキも着た。 愛称は 「身長5フィート (約150㌢)の巨人」。 難民から感謝された証拠だろう。 アフリカ各地の難民キャンプに 「オガタ