定食屋やラーメン屋で食い逃げをしようとした若者を大将が取り押さえ、「皿を洗っていけば許してやるよ」と声をかける。大将の心の広さに胸を打たれた若者は、涙を流しながら皿洗いをして心を入れ替える――。こんな人情話が以前、ドラマや漫画で繰り返し使われていた。 近年では弘兼憲史『取締役 島耕作』でも島耕作の客人が飲食店で「お金がないので30分皿洗いをしてもいいですか」と声をかけ、共に食事代の代わりに皿洗いや掃除をするシーンが登場する。その後の展開は、以前その客人が貧乏だった時代に、飲食代を皿洗いで免除していた店主が奥から登場。再開した二人は涙ながらに抱き合う…というもの。 金がないなら体(労働)で返せば許してやる。この一見美談なエピソードは法的に問題ないのだろうか。髙橋裕樹弁護士に聞いた。 ●宿代・食費…体で返してはダメ⁉ 髙橋弁護士は「確かに、漫画やドラマなどで目にすることのある展開ですね