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  • あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」論争再燃 - 粥川準二|論座アーカイブ

    あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」論争再燃 現代アートは文脈を取り戻せるか? 出品作家らの対話企画と作品から考える 粥川準二 叡啓大学准教授(社会学) 「撮影が禁止されているので、デッサンしている人もいましたよ」「ネット中継している人とか…」「スタッフに詰め寄っている人もいました」 たまたま同じテーブルに座ったアート関係者3人がそう教えてくれて、筆者は興奮を禁じ得なかった。 ここは百島。尾道港からフェリーで50分、高速船で25分のところにある小さな島である。面積は3平方キロメートルに過ぎず、人口は500人にも満たない。その大半は高齢者で、子どもはわずか。「昔はアサリが採れたが、ある時期から採れなくなった」と、島の男性は言う。空き家も多い。言葉を選ばずにいえば、過疎と高齢化が進む離島であろう。 2019年11月16日、広島市に住む筆者らは尾道を経由して、この島を訪れた。この島では、202

    あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」論争再燃 - 粥川準二|論座アーカイブ
  • あいトリ 「表現の不自由展」中止事件 - 曽我部真裕|論座アーカイブ

    はじめに 2019年8月から10月にかけて開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の一環として展示された「表現の不自由展・その後」では、開始直後から一部の展示作品について抗議が殺到し、3日間で中止を余儀なくされた。 その後、8月9日には、愛知県において、「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」(以下、「検証委」という)が設置され、筆者はその一員として検討に加わった(注1)。検証委は、9月25日、事実関係の調査結果や問題点を分析した上で、早期の再開を求める「中間報告」を取りまとめた。それを受けて会期末の迫る10月8日、抽選で入場を認める形で再開された(次ページ後掲記事を参照)。 中間報告は、報告体と付属する五つの「別冊資料」で構成されている。中止事件をめぐる法的な論点については、「別冊資料2」(表題「憲法その他、法的問題について」)において詳細に検討されている。同資料は、検討委の議論

    あいトリ 「表現の不自由展」中止事件 - 曽我部真裕|論座アーカイブ
    ykkykym
    ykkykym 2019/12/28
    “美術研究者の反応として、不自由展はことの運び方が稚拙という。中間報告が強調したキュレーションの問題と通じ、もっともな反応だ。しかし正面突破を試みることも、無意味ではないとも思う”
  • 韓国に対する「確証バイアス」が広がる日本 - 金恵京|論座アーカイブ

    韓国に対する「確証バイアス」が広がる日 対立の影で失った韓国への客観的な視角 金恵京 日大学危機管理学部准教授(国際法) 輸出規制後の特徴的事例 徴用工判決をあらためて複眼的に捉える 韓国に対する輸出規制の論理は破綻している GSOMIAへの姿勢から見える日韓対立の根源 確かに、日韓両政府の対立はこれまでも数多く存在してきた。しかし、今回の日韓の対立で最も深刻なのは、それが市民やメディアの議論にまで大きく影響を与え、社会の中で相手国に対しての捉え方が変わったことにある。 ここで、輸出規制が実施された後に起きた3つの事例を挙げて、その傾向を見ていく。 第一に挙げられるのは、「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」が約2カ月間、閉鎖された件である。8月に始まった同展においては、従軍慰安婦の女性を模した「平和の少女像」に対してテロを想起させる批判が多く寄せられたこともあり、

    韓国に対する「確証バイアス」が広がる日本 - 金恵京|論座アーカイブ
    ykkykym
    ykkykym 2019/12/27
    “「表現の不自由展・その後」が約2カ月間、閉鎖された件。結果的に、かつての少女たちが戦中戦後に何を思ったのかを伝えたいという作り手の思いはかき消されてしまった”
  • 差別扇動に国も加担した「ヘイト問題」 - 安田浩一|論座アーカイブ

    部屋の隅で、おかっぱ頭の〝少女〟は怯えていた。膝の上でぎゅっと握られたこぶしに、さらに警戒の力が加わった。少なくとも私にはそう見えた。 スーツ姿の男性が少女に近づいた。どこか投げやりな歩き方とニヤけた表情は、純粋に「鑑賞」を目的としていないことだけは明らかだった。スタッフや来場者の一部に緊張が走る。 男性は少女を一瞥し、「ふんっ」と鼻で笑う。続けて軽く舌打ちし、その場を離れた。相変わらずニヤけながら、しかし、そこには間違いなく侮蔑の色も同時に浮かんでいた。 結局、それだけのことだった。ただそれだけのために、男性は長い行列に加わり、抽選に参加したのだろう。 「よかった」。安堵したスタッフの一人がそう漏らした。 またか、と少女は思っただろうか。あるいはこうした場面に慣れてしまったことを、さらに悲しく感じただろうか。 平和の少女像――元従軍慰安婦を題材としたこの作品は、侮蔑され、罵倒され、貶めら

    差別扇動に国も加担した「ヘイト問題」 - 安田浩一|論座アーカイブ
    ykkykym
    ykkykym 2019/11/29
    “男性が少女に近づいた。ニヤけた表情は「鑑賞」を目的としていないことは明らかだ。スタッフや来場者に緊張が走る。男性は少女を一瞥し「ふんっ」と鼻で笑う。軽く舌打ちし、その場を離れた”
  • 「不自由展」とNHKかんぽ問題 - 砂川浩慶|論座アーカイブ

    名古屋市・栄のバスターミナルを上ると二つの巨大な建物がそそりたつ。「表現の不自由展・その後」の会場となった愛知芸術文化センターと地下4階地上21階のNHK名古屋放送センタービルだ。前庭に立つとその威圧感は相当なものだ。まさに「表現の不自由」を考えさせられた展覧会、そして「表現の自由」のまえに、外部からの圧力による経営委員、役員の保身によって「表現」を禁じたNHKかんぽ問題から、この国の「表現の自由」を考えていきたい。 「不自由展」に足を運ぶ 10月10日、「表現の不自由展・その後」実行委員会(以下、実行委員会)の関係者枠で会場を見る機会を得た。2015年に東京・練馬で行われた「表現の不自由展〜消されたものたち」には、メディア総合研究所事務局長の岩崎貞明氏が実行委員会のメンバーの一人として「ひとりっ子」(RKB毎日放送制作。防衛大学校への進学に悩む若者を主人公に自衛隊を考える芸術祭参加作品だ

    「不自由展」とNHKかんぽ問題 - 砂川浩慶|論座アーカイブ
    ykkykym
    ykkykym 2019/11/28
    “名古屋の放送局出身者「東京から来た津田氏にかき回され、それを大村県知事と河村たかし名古屋市長がパフォーマンスに利用したとの図式にも思える」”
  • 安易に白黒をつけてはならない - 森達也|論座アーカイブ

    あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」の展示中止が突然発表された8月3日から2カ月以上が過ぎた。通常の事件や騒動ならば、とっくに沈静化して人々の記憶も薄くなり始めている時機のはずだ。でも事態は今も動き続けている。 再開するも補助金は不交付 9月30日、あいちトリエンナーレ実行委員会と「表現の不自由展・その後」実行委が展示再開で合意したことが報道された。実際に再開したのは10月8日だから閉幕まで1週間。決して充分な期間ではないけれど、展示が再び実現した。 ただし手放しでは喜べない。この発表の4日前である9月26日、就任したばかりの萩生田光一文部科学相が、「申請のあった内容通りの展示会が実現できていない」として補助金約7800万円全額を交付しないとする方針を表明している。 確かに展示企画のひとつとして予定されていた「表現の不自由展・その後」は、始まってから3日目に中止となり、内

    安易に白黒をつけてはならない - 森達也|論座アーカイブ
    ykkykym
    ykkykym 2019/11/27
    “「あり方検証委員会」は表現の本質について何もわかっていない。過剰な補助線は時として作品への暴力となる。誤解や曲解をすべて排除しようとするならば、表現はその瞬間に窒息している”
  • 「平和の少女像」制作者キム夫妻インタビュー - 金曙炅 キム・ソギョン/金運成 キム・ウンソン|論座アーカイブ

    「平和の少女像」制作者キム夫インタビュー 日追及にとどまらぬ制作意図 元慰安婦に偏見、韓国の反省も 金曙炅 キム・ソギョン/金運成 キム・ウンソン 彫刻家 開幕から3日で中止され、10月8日に再開した「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」(14日閉幕)。慰安婦を題材にし、電凸(電話による攻撃)や妨害行為の標的になった「平和の少女像」の制作者で韓国の彫刻家、金運成(キム・ウンソン)さん、金曙炅(キム・ソギョン)さん夫誌編集部がインタビューした。インタビューは展示再開日が決まる直前の同5日、名古屋市で行った。通訳は「不自由展」実行委員会メンバーで編集者の岡有佳さん。 ――まず、今回の「表現の不自由展・その後」が中止され、再開することで和解したことへの思いを、表現の自由の観点を含めて聞かせてください。 キム・ソギョンさん あいちトリエンナーレは、私たちの作

    「平和の少女像」制作者キム夫妻インタビュー - 金曙炅 キム・ソギョン/金運成 キム・ウンソン|論座アーカイブ
    ykkykym
    ykkykym 2019/11/26
    “ウンソンさん 今回のことについて言えば、日本という国家ぐるみで芸術をコントロールしようとしたというより、あくまで個別の政治家による介入だと受けとめている”
  • 「表現の不自由展」騒動と「風流夢譚」事件 - 柴田哲雄|論座アーカイブ

    雑誌『中央公論』に作家深沢七郎の『風流夢譚』が掲載されたことに抗議し、雑誌の廃刊と会社の解散を求めた「赤色革命から国民を守る国民大会」の1961年1月31日付けの決議書。2月1日に嶋中鵬二社長宅が右翼少年に襲われ、お手伝いさんら二人が殺傷された=1961年2月撮影 はじめに 「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」をめぐる一連の騒動(以下「表現の不自由展」騒動)が、約60年前の「風流夢譚(むたん)」事件を彷彿とさせるという声が、一部のネット・ユーザーの間から上がっています。 「風流夢譚」事件について触れておきましょう。総合誌『中央公論』は1960年12月号に、昭和天皇をはじめとする皇族の処刑場面を描いた深沢七郎の小説「風流夢譚」を掲載しました。これに対して、右翼団体は皇室に対する侮辱ととらえて、繰り返し中央公論社に乗り込んでは威嚇を行いました。そして61年2月になると、大

    「表現の不自由展」騒動と「風流夢譚」事件 - 柴田哲雄|論座アーカイブ
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    ykkykym 2019/11/26
    “自民党は皇族に対する名誉棄損で同社を告訴するよう、池田勇人首相に圧力を加えました。大日本愛国党の赤尾敏党首を尋問していた飯守重任東京地裁裁判官が、テロの「原因は皇室侮辱」と発言”
  • 福島原発事故と原爆投下 アートが可視化する文脈 - 粥川準二|論座アーカイブ

    福島原発事故と原爆投下 アートが可視化する文脈 科学技術と言論とアートを融合させる実験場——あいちトリエンナーレ鑑賞記(3) 粥川準二 叡啓大学准教授(社会学) 前回に続き、再びあいちトリエンナーレについて書く。あいトリには、核兵器や原子力発電を直接扱っていたり、想起させたりする作品も多い。 ミリアム・カーン〈美しいブルー〉と藤原葵〈Conflagration〉は、ともに戦争や核爆発への不安を感じさせる絵画作品だ。この両作も対になっているように見えた。同じ会場にあるスチュアート・リングホルト〈原子力の時計〉は、10億年後、地球の自転速度が低下し、1日が34時間になっても時を刻むことができる時計だそうだ。裏側は放射線の存在を示すハザードマークになっている。この時計を10億年稼働させるためには原子力が必要だということだろうか? 円頓寺エリアの伊藤家の蔵で観た、岩崎貴宏〈町蔵〉もまた、どことなく

    福島原発事故と原爆投下 アートが可視化する文脈 - 粥川準二|論座アーカイブ
    ykkykym
    ykkykym 2019/11/12
    “学芸員が1枚の写真を教えてくれた。矢羽根型の標柱。2011年に、核兵器や原発を表象する作品を紹介する展覧会で展示されるものだった。しかし原発事故を受けて中止。小田原は「バトンを受け取った」”
  • 身体の自由/不自由と現代技術 緊張関係の作品化 - 粥川準二|論座アーカイブ

    身体の自由/不自由と現代技術 緊張関係の作品化 科学技術と言論とアートを融合させる実験場——あいちトリエンナーレ鑑賞記(2) 粥川準二 叡啓大学准教授(社会学) 前回に続き、あいちトリエンナーレについて書く。10月13日、台風が去って開館した愛知芸術文化センターで、まずは夏には展示中止されていた作品たちを観た。 たとえば、CIR(調査報道センター)の〈ボックス:独房のティーンエイジャーたち〉など一連の映像作品は、記者たちによる入念な取材の成果を、さまざまなテーマにマッチしたアニメーションと、ヒップホップなどの音楽を組み合わせて表現し、社会問題に切り込む。たとえば〈ボックス〉は、ニューヨークの収容施設で未成年者が独房に閉じ込められていたことを暴く。計6の映像作品が展示再開された。 数カ月前、CIRがあいトリに参加すると知って、筆者は驚いた。というのは、筆者が初めて翻訳(山口剛との共訳)した

    身体の自由/不自由と現代技術 緊張関係の作品化 - 粥川準二|論座アーカイブ
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    ykkykym 2019/11/05
    “津田大介は「現代アートは文脈依存型のアート」だと強調した。現代アート作品は文脈のなかでこそ、その意味や価値が初めて見えてくる。判断や批評が可能になるのはその後のことなのだ”
  • アートが生殖技術を描くとき 母の視点、娘の視点 - 粥川準二|論座アーカイブ

    アートが生殖技術を描くとき 母の視点、娘の視点 科学技術と言論とアートを融合させる実験場——あいちトリエンナーレ鑑賞記(1) 粥川準二 叡啓大学准教授(社会学) 10月14日、あいちトリエンナーレ2019が閉幕した。 筆者はここ数年、芸術祭に行くことが趣味のひとつになっている。中毒気味といってもいい。今年は瀬戸内国際芸術祭2019(香川、岡山)、リボーンアート・フェスティバル2019(宮城)、そしてあいちトリエンナーレ2019(愛知)、と国際的な芸術祭が三つも重なってしまったのだが、スケジュールを調整して三つとも訪れた。瀬戸芸もリボーンもとても素晴らしかったのだが、印象の深さでいえば、あいトリが圧倒的だった。 そのことは、筆者が、会場の一つになった愛知県豊田市の出身であることと多少関係するかもしれない。しかし、「表現の不自由展・その後」とそれをめぐる一連の騒動とはあまり関係ない。あいちトリ

    アートが生殖技術を描くとき 母の視点、娘の視点 - 粥川準二|論座アーカイブ
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    ykkykym 2019/10/31
    “津田は、「現代アートは文脈依存型のアート。だから現代アートと、文脈を切り刻んでしまうSNSとは相性が悪い。これまで美術館が撮影を禁止してきたのは、それなりに意味があるのかもしれません」”
  • 私はなぜ文化庁委員を辞めたのか【下】 - 野田邦弘|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

    文化庁が「あいちトリエンナーレ」への補助金の全額不交付を決めたことを批判して、補助金の審査委員を辞任した鳥取大学特命教授の野田邦弘さんによる論考の2回目。経緯と問題点を整理し考えた前回に続き、愛知県やアーティストらが起こしたアクションや、社会の中での芸術と公的支援のあり方を考え、将来を展望する。 迅速に動いたアーティスト、市民、愛知県 「あいちトリエンナーレ2019」(8月1日~10月14日)では、その一部である「表現の不自由展・その後」(以下「不自由展」という)が、テロ予告ともとれる内容を含む多くの抗議のメール、電話、ファックスを受けて、8月4日から、一時中止を余儀なくされた。 愛知県は「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」を設置し、第1回会合を8月16日に開催した。 委員は 国立国際美術館館長・山梨俊夫(座長) 慶應義塾大学総合政策学部教授・上山信一(副座長) 美術館運営・管理研究

    私はなぜ文化庁委員を辞めたのか【下】 - 野田邦弘|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
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    ykkykym 2019/10/28
    “世界各国で高まる反知性主義的なポピュリスムは、アームズ・レングスの原則といった「インテリのタワゴト」など蹴散らす勢いだ。横浜トリエンナーレ企画「表現の不自由展・part3」を実施すべき”
  • 私はなぜ文化庁委員を辞めたのか【上】 - 野田邦弘|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

    多くの市民、芸術関係者、研究者らが強く抗議している「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付。この問題の質はなにか。文化庁のやり方を批判して、補助金の審査委員を辞任した鳥取大学特命教授の野田邦弘さんに、文化政策、地方自治、表現の自由など多様な観点から、2回にわたり、くわしく読み解いてもらった。事実を整理し、問題点を洗い出し、将来を見通す、「あいトリ補助金問題」について考えるための基礎となる論考。 補助金はどのように募集され、採択されたのか 「あいちトリエンナーレ2019」が10月14日に終了した。「表現の不自由展・その後」(以下「不自由展」という)の展示が中止された話題性も手伝い、入場者は65万人を超え、過去最高となった。 しかし、「不自由展」中止に至る問題点は十分明らかになっておらず、どこに問題があったかも結論が出ていない。文化庁は「不自由展」の一時中止を理由に、補助金の全額を不交付とし

    私はなぜ文化庁委員を辞めたのか【上】 - 野田邦弘|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
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    ykkykym 2019/10/27
    “「事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実をを申告」しなかった。県主催の事業に伴うリスク管理は県自身が行うものであり、国に相談すべき事案とは言えない。これは地方自治の原則に関わる”
  • あいち芸術祭とNHKで起きた現代版「焚書」事件 - 徳山喜雄|論座アーカイブ

    あいちトリエンナーレが閉幕。主会場の愛知芸術文化センターでは、津田大介芸術監督(中央)らが拍手で閉幕を惜しんだ=2019年10月14日、名古屋市東区 ドイツの旧東ベルリンにあるフンボルト大学の前にアウギュスト・ベーベルと呼ばれる美しい石畳の広場がある。ここは、かつてナチス・ドイツが、反体制的で頽廃的だと判断した書物を焼きはらった「焚書」の地だ。 私は壁崩壊から10年がたった1999年にベルリンを訪れ、この広場に立った。石畳の1.2メートル四方が切り取られ、強化ガラスがはめ込まれていた。ガラスを覗いてみると、真っ白な地下室が広がり、四方の壁にはそれぞれ14段の棚が並んでいた。しかし、棚にはが一冊も並んでいなかった。 これはイスラエル人のミシャ・ウルマンによる「図書館」という作品だ。ドイツ統一後、ベルリン市が「二度と繰り返さないために」とメモリアル創設を決定し、コンペに招いた24人の美術家

    あいち芸術祭とNHKで起きた現代版「焚書」事件 - 徳山喜雄|論座アーカイブ
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    ykkykym 2019/10/21
    “旧東ベルリン。ナチスが書物を焼きはらった「焚書」の地。 1999年、石畳が切り取られ真っ白な地下室、14段の本棚。本が一冊も並んでいなかった。 イスラエルのミシャ・ウルマン「図書館」という作品”
  • 東大教員有志が「あいち」不交付に抗議したわけ - 加治屋健司|論座アーカイブ

    東大教員有志が「あいち」不交付に抗議したわけ 学問の自由への懸念、国の信用にもかかわる 加治屋健司 東京大学大学院准教授 10月9日午後、東京大学教員有志167名の連名で、「文化庁によるあいちトリエンナーレへの補助金の不交付決定に対する東京大学教員有志の声明」を、萩生田光一文部科学大臣と宮田亮平文化庁長官宛てに送付した。 声明は、文化庁が、「あいちトリエンナーレ」の一部である「表現の不自由展・その後」が一時公開できなくなったことを理由に補助金を全額不交付とする決定をしたことに強く抗議し、不交付決定の取り消しを要望する内容である。 声明を出すことになった背景には、今年5月に東大に発足した芸術創造連携研究機構(以下、芸術機構)の存在がある。 芸術機構は、七つの部局(学部・研究科など)が連携する横断的な組織で、多様な分野の研究者が連携して、芸術家との協働・連携も行いながら、芸術創造に関する分野融

    東大教員有志が「あいち」不交付に抗議したわけ - 加治屋健司|論座アーカイブ
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    ykkykym 2019/10/14
    “論座の寄稿で毛利嘉孝氏は、1990年代から現代美術の概念が大きく変化したと指摘し、「不自由展」や津田氏の取組を、そうした流れに棹さすものとして高く評価している。筆者も深く同意する”
  • すっきりとしない「不自由展・その後」の再開 - 市川速水|論座アーカイブ

    3日間で中断した「あいちトリエンナーレ2019」の企画展の一つ「表現の不自由展・その後」が2019年10月8日、66日ぶりに再開した。 想定できない事態が次々と起きた会場内外の騒動も含めた全体が、「言論の不自由とは何か」を生々しくものがたり、日社会を鈍く冷たく覆う空気を改めて教えてくれた「超大規模イベント」になったと、皮肉にも思えてくる。 中断前から一変した景色とシステム

    すっきりとしない「不自由展・その後」の再開 - 市川速水|論座アーカイブ
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    ykkykym 2019/10/10
    “韓国メディアは在京ほぼ全社が出張取材。「少女像の展示がどうなるか関心を持っていたが中断。展示が紆余曲折を経て再開されること自体が日本のすごさです。韓国ではあり得ない大きなニュース」”
  • 「心地よいもの」「美しいもの」だけが芸術なのか - Web論座

    あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」(以下不自由展)の中止から文化庁の補助金不交付決定まで一連の動向については、すでに多くの人が抗議や懸念を表明している。 私の所属する東京藝術大学においても9月27日(金)の夜18時から美術学部正門前で緊急集会が開かれ、直前の告知だったにもかかわらず教員や学生約300名が集まり、この問題について大学前の路上で議論を行った。 また10月3日付で東京藝術大学教員有志一同42名(その後、賛同者は増え10月5日現在47名)が「文化庁による「あいちトリエンナーレ2019」補助金交付取り消しに対する抗議声明」を発表し、同日萩生田光一文部科学大臣と宮田亮平文化庁長官宛てに声明を送付した。 東京藝術大学だけではなく東京大学でも同日同様の声明が出されている。大学だけではない。文化や芸術に関連する団体や組織が次々と抗議文や声明文を発表している。この動きは、トリエン

    「心地よいもの」「美しいもの」だけが芸術なのか - Web論座
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    ykkykym 2019/10/09
    “欧米では、1970年代以降多文化主義政策が取られている。 実際、マイノリティの文化がイノベーションの核となった。旧社会主義国家に見られる過度な文化政策は、中長期的には停滞を生み出した”
  • 権力者は「僕らの優しいお父さん」ではない - 赤木智弘|論座アーカイブ

    ご都合主義的な表現の自由を振りかざす人たち 主にネット上で「表現の自由戦士」と呼ばれる人たちがいる。どのような人たちか。 アニメ調のポスターなどの掲示物において、スカートが短かったり、胸が強調されすぎているなどの批判が起こったり、そのポスターを取り下げるような決定が行われたときに「表現の自由を守れ!」と主張してくる人たちがいる。しかし、その中でも僕が「表現の自由戦士」と認識する人たちは、もともとそのポスターなどを掲示していた側と、それを批判した側。両者の話し合いのうちで、撤去などの合意に至ったという過程を無視して、そもそもアニメ調の絵などが批判されたというだけのことに対して、過剰に反発するような人たちである。 僕自身も、アニメに対する偏見には憂慮しており、アニメ調だからと批判されることに対しては批判する。しかし、批判の上で、最終的に決定された結果が、たとえ撤去という不意な結果となったとし

    権力者は「僕らの優しいお父さん」ではない - 赤木智弘|論座アーカイブ
  • 「文化守らぬ文化庁」今も昔も - 石川智也|論座アーカイブ

    文化守らぬ文化庁」今も昔も トリエンナーレへの補助金不交付に、映画『靖国 YASUKUNI』李監督は何を思う 石川智也 朝日新聞記者 イチャモンとしか言いようがない補助金不交付 相変わらずだな。まずそう思った。文化庁のことだ。 「表現の不自由展・その後」はおよそ2カ月ぶりの再開に向けて新たな局面を迎えたが、問題はなんら解決していない。大村秀章・愛知県知事が展示再開の意思表明をした翌日、文化庁は不自由展を含む「あいちトリエンナーレ2019」全体に対する補助金7800万円全額の交付を取り消した。 言うまでもなく、今回のトリエンナーレ実行委は被害者だ。 事前に警察と相談し、警備を手厚くしたり撮影を禁じたりすることで不自由展の開催は可能と判断していた。明らかに犯罪である脅迫や想定外のテロ予告に対して前もって予測し申告しなかったなどという理由をいまさら持ち出すのは、イチャモンとしか言いようがない。

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    ykkykym
    ykkykym 2019/10/04
    “日本政府が世界に送ったメッセージ「意に沿わない事業にはカネを出さない」。2008年、映画『靖国 YASUKUNI』。文科省(文化庁)が所管する「日本芸術文化振興会」の基金から750万円が助成されていた”
  • 「あいち」補助金不交付は、なぜ危険なのか - 高山明|論座アーカイブ

    愛知県で開催中の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に対する文化庁からの補助金の全額(約7800万円)を交付しないと、萩生田光一文部科学相が9月26日発表した。いったん採択が決まった補助金を「不交付」とする異例の事態だ。 芸術祭の一部である「表現の不自由展・その後」が、電話による激しい攻撃にさらされて展示中止となったことを受けての対応で、文化庁は次のような内容の文書を発表した。 ● 愛知県は会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたのに、それを申告せずに、採択され、補助金交付を申請した。 ● その後の審査段階でも、文化庁から問合せを受けるまでそれらの事実を申告しなかった。 ● よって、文化庁は、①実現可能な内容になっているか、②事業の継続が見込まれるか、の2点を適正に審査できなかった。これは補助事業の申請手続において不適当な行為だと評価した。 ● 全事業は一体

    「あいち」補助金不交付は、なぜ危険なのか - 高山明|論座アーカイブ
    ykkykym
    ykkykym 2019/09/30
    “ドイツの公共劇場では劇場責任者と弁護士が「いかに警察に介入されないですむか」と考えて事前準備をします。日本では、根拠のはっきりしない「世間の声」が法律より上にあるように感じます”