「梟覇」という小説のタイトルを筆で書く仕事をしました。隷書で書くことになったのですが、今日本で使っている「覇」という字はないのです。 字書に載っているものは左にあるようなものです。 どうも左右のいちばん上にある「あめかんむり」+「革」+「月」というのが最も一般的なもののようです。 さあ困りました。歴史的な字を書くべきか、それとも今書かれている日本の字を隷書風に書くか、二者択一です。 これがボクにとっての「字体」の問題です。 タイプフェースでは、「字体」「字形」「書体」「字種」という言葉があります。これを整理してみましょう。 字体の差 「吉」は、上の方に横線と縦線を平べったくクロスさせ、その下にもう一本横線を書く、その際縦線と接する。さらにその下にやや横長の長方形を書く。 というような「概念」を「字体」というようです。ですから左のように示してしまうと「概念」とはいえなくなってしまうのですが、