パレスチナの過激派組織ハマースの攻撃に、イスラエルは「報復」としてガザ地区への地上侵攻を開始した。双方の死者が合わせて1万人を超える深刻な事態になっている。パレスチナとイスラエルの衝突は長く、その背景は複雑だが、この問題を考える際には気をつけなければならないことがあるという。パレスチナ問題を研究するハディ ハーニ氏が考察する。 (『中央公論』2023年12月号より抜粋) 二項対立的理解の独善性 10月7日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配する過激派組織のハマースがイスラエルへの大規模攻撃を行った。イスラエルは「強力な報復」を宣言し、ガザ地区への空爆を実施。激しい軍事衝突となり、双方に多数の死者が生じている。 昨今のパレスチナとイスラエルの状況については様々な意見や解説があるが、基本的な構図を見誤ったものが多く、それはむしろ恒久的平和の実現にとっての障害にもなる。 筆者は、民族や宗教にかか
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