利用者負担分を除いた2015年度の介護給付費は、前年度よりも約1971億円多い約9兆976億円に達したことが厚生労働省の「介護保険事業状況報告(年報)」で分かった。要介護・要支援認定を受けた人は約620万人で、前年度から約15万人増加した。【ただ正芳】 約620万人の内訳は、要支援1が約89万人、同2が約86万人、要介護1が約122万人、同2が約108万人、同3が約81万人、同4が約74万人、同5が約60万人となっている=グラフ=。 ■ 1 人当たりの給付費、 9 年ぶりに減少 第1...
法律で義務づけられた届け出を行っていない有料老人ホーム、いわゆる「無届け介護ハウス」のおよそ7割が、医療機関やケアマネージャーから入居者の紹介を受けていることが厚生労働省の委託調査でわかりました。 このため、厚生労働省は実態を把握するため初めて委託調査を行い、全国692の無届け介護ハウスにアンケートを行って、225件の回答を得ました。 この中で、いずれも複数回答でどこから入居者の紹介を受けたか聞いたところ、「病院や診療所」が70.7%で最も多く、次いで「ケアマネージャー」が68.9%、「地域包括支援センター」が42.7%でした。 また、入居者側の動機は「1人暮らしで家族などの支援がないため」が66.7%、「病院から退院後、自宅に戻れないため」が62.7%、「介護が必要になったため」が58.2%でした。 調査を行った高齢者住宅財団の高橋紘士理事長は「無届け施設が高齢者の受け皿になっている現状
40代後半から50代にかけて突然襲われる介護離職やダブル介護の危機――。みずほ情報総研の主席研究員(兼・日本福祉大学教授)の藤森克彦さんも遠距離介護を経験し、離職を考えた時がありました。インタビューの最終回は、「介護離職」はどこまで防げるのか聞きました。(聞き手・岩崎賢一) ――藤森さんも遠距離介護を経験されたそうですが、そこで気づいた点はありましたか。 もう10年前のことになりますが、長野県に住んでいた父が小腸に血栓を詰まらせて、小腸を全摘出する手術を受けました。前の日まで元気であったのに、突然腹痛を訴えて入院しました。腹痛の原因がすぐにはわからず、小腸で壊死(えし)した部分が広がってしまい、生きるか死ぬかという大手術になりました。幸いなことに手術自体は成功したのですが、小腸をほぼ全摘出したために、日中は胸の静脈から栄養を点滴で入れ、人工肛門(こうもん)をつけるという生活になりました。
政府は6日、今年の規制改革実施計画の素案を自民党の厚生労働部会に提示した。 柱の1つになっている介護の分野は、規制改革推進会議が先月23日にまとめた答申を踏襲した内容。いわゆる「混合介護」に関する記載もあるが、より柔軟な展開を思い切って認めていく方針は打ち出していない。ルールを明確にするための通知を「来年度上期」に出すとしたが、保険が適用されるサービスとそうでないサービスをセットにして同時・一体的に提供する構想については、「検討を開始する」「課題や論点の整理を行う」などと結論を先送りした。強く抵抗した厚生労働省や与党などに配慮した形だ。最終的な調整を経て近く閣議決定する。 素案では、来年度上期の通知の発出に向けて現行のルールの整理などに着手し、今年度中にまとめるべきと記載。ヘルパーが家族の分の調理や洗濯も一緒に済ませるなど、訪問介護において保険内と保険外のサービスを柔軟に組み合わせ
介護現場で人材が足りない問題はもはや待ったなしです。そんな中、国家資格である「介護福祉士」を目指す外国人が急増しています。実際に教育現場を取材すると、未来の介護のカタチが見えてきました。 大阪市阿倍野区にある関西社会福祉専門学校。生徒はみな国家資格「介護福祉士」の取得を目指していて、去年から外国人の数が急増しました。 Q.外国の方は手を挙げて…ちなみにみなさんの出身は? 「ベトナムです」 Q.ベトナムの方は? 「ほとんどベトナムの方」 今年の新入生60人のうち30人が外国人で、ほとんどがベトナム人。授業はもちろん日本語ですが留学生のみなさんの日本語レベルは…。 「(施設の)利用者の方の生活はリズムを崩さないことが大切です」(教科書を読む留学生) と、なかなかのもの。 Q.日本語はどれくらい勉強? 「私は1年間」 「私は半年」 「私も半年」 Q.漢字書けるんですか?
政府は30日の未来投資会議で示した新しい成長戦略「未来投資戦略2017」の素案に、介護サービス利用者の「自立支援」に取り組み、利用者の介護状態を改善させた事業者への報酬を手厚くする方針を盛り込んだ。元気な高齢者を増やし、介護費抑制につなげる狙いだ。ただ、改善の見込みのない人が利用しにくくなると懸念する声もある。 介護サービスの公定価格である介護報酬は、一般的に利用者の介護の必要度に比例する。利用者を寝かせきりにさせている方が報酬を多くもらえ、歩行訓練などの自立支援に取り組んで利用者の状態が改善した場合には報酬が減ることもある。安倍晋三首相は昨年11月の未来投資会議で「パラダイムシフト(考え方の大転換)をおこす」と、こうした状況を改める考えを示していた。 成長戦略の素案では、「どのような支援をすれば自立につながるか明らかにする」ため、科学的に分析するとした。介護サービスで実施したケアを事業者
認知症患者さんに見られる行動障害・精神症状、いわゆる「BPSD」に対して非薬物療法が最優先されることは論をまたないでしょう。種々のガイドラインや成書でも「まず非薬物療法を行うべき」と記載されています。 この場合の非薬物療法とは、認知リハビリテーションや何々療法と呼ばれる類を指すのではなく、BPSDに対する家族や周囲の人々の対応や介護などを意味しています。私も患者さんが示すBPSDに対して家族や周囲の人々による上手な介護、適切な対応が最も重要であるとの意見に異論はありませんが、この非薬物療法がBPSDの治療として金科玉条のように唱えられることに対しては、以前からやや違和感を覚えています。今回は、この非薬物療法について考えてみたいと思います。 私が考える非薬物療法の役割 認知症診療の柱の1つは「BPSDに対する指導」だと思います。最大かつ有効な対策は、家族や周囲が困るBPSDを発現させない工夫
あさかわ・すみかず/1948年2月東京都中野区生まれ。東京都立西高校から慶應義塾大学経済学部に。1971年日本経済新聞社に入社。小売り・流通業、ファッション、家電、サービス産業などを担当。87年に月刊誌『日経トレンディ』を創刊、初代編集長を5年間勤める。93年流通経済部長、95年マルチメディア局編成部長などを経て、98年から編集委員。高齢者ケア、少子化、NPO活度などを担当。2011年2月に定年退社。同年6月に公益社団法人長寿社会文化協会常務理事に就任。66歳。 医療・介護 大転換 2017年5月に「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法」が成立し、18年4月からは介護保険と医療保険のサービス内容が改定された。少子高齢化が急速に進む中で、日本の社会保障はどう大きく変革するのか。なかなかその全貌が見えてこない、医療・介護大転換の内容を丁寧に解説していく。 バックナン
「混合介護」の弾力化で何が変わるのか?――社会保障の理念から考える 社会保障論、結城康博氏インタビュー 福祉 #社会保障#介護保険#混合介護 介護保険サービスと保険外サービスを柔軟に組み合わせる「混合介護」の早期実現をもとめ、内閣府の規制改革推進会議が意見書を提出した。混合介護が柔軟に提供されるようになれば、自費サービスの多様化や、介護士の賃金アップが期待できるなどの意見がある。一方で、「低所得者に良質なサービスが行き届かなくなる」「悪質な業者によって、判断能力が乏しい高齢者が過度な負担を強いられる」など、懸念する声も少なくない。考えられるメリットと問題点とは何なのか、淑徳大学教授・結城康博氏に解説していただいた。(構成/大谷佳名) 混合介護とは? ――そもそも、「混合介護」とはどのようなものなのでしょうか。 まず、現在の介護保険制度では、医療保険と違って、保険内と保険外の組み合わせは認め
──日本各地に残る姥捨山伝説。歩けない老人を山奥に捨てる慣習に種々のエピソードが加えられて今日に至っている。今、家族が会いに行くのが極めて困難な場所に、寝たきりの親を置き去りにする施設の建設が進められているとしたら……。 「天城越え」が必要な70キロ離れた救急病院 静岡県南伊豆町に、東京都杉並区が6億2400万円を拠出し、さらに年間600万円の運営費を出す予定となっている特別養護老人ホーム「エクレシア南伊豆」(仮称)が、今夏、入所者の募集を開始する。 なぜ、都心の杉並がわざわざ南伊豆に特養をつくるのか。地元の杉並区民から大きな疑問の声があがっている。 「南伊豆には、健康学園という杉並区の施設がありました。健康学園は喘息や肥満など健康上の障害がある児童が集められた全寮制の施設でした。当時、クルマで4時間以上もかかる南伊豆に、肥満というだけで子供を送る親に『育児放棄ではないか』と非難の声があが
10日午前3時20分ごろ、奈良県上牧町上牧の介護老人保健施設「こころ上牧」で、入所者の森本ミツヱさん(97)が室内で倒れているのを巡回中の介護職員の男性が見つけた。119番通報を受けた救急隊員が死亡を確認した。司法解剖の結果、同日夜、死因は首を絞められたことによる窒息死と判明。県警は殺人事件とみて調べる。 西和署によると、死亡推定時刻は同日午前0~3時。森本さんは4階の個室内にある手すり付きのベッドの下で、横になって倒れた状態で見つかった。介護職員の男性は、同日午前1時ごろの巡回時にはベッドで寝ていたと話したという。 こころ上牧によると、2006年に介護事業を始め、5階建ての建物の2階以上に約75人が入所。ふだんは夜間、建物の玄関を施錠している。午後6時~午前8時半は階段室の扉を施錠し、エレベーターも暗証番号を入力しないと動かないという。 署によると、森本さんは10年…
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で相次ぐ事故。想定よりも要介護度が高い入居者が多いことが背景の一つだ。「ミスマッチ」を防ぐにはどうすればいいのか。体の状態に合った住居を選べるように、国は事業者に対し情報の公表を義務づける。 5日連続で最高気温が35度を上回る猛暑日となった2015年8月4日。大阪市東淀川区の12階建てサ高住「Cアミーユ淡路駅前」の一室で、82歳だった女性が亡くなっているのが見つかった。病死で、死後4日。「孤独死」だった。 郵便物がたまっているのに気づいた住宅職員が午後4時半ごろ、女性の部屋を訪問。テレビの音はかすかに聞こえるのに、扉をたたいても応答がない。合鍵で室内に入ると、女性が倒れていた。大阪市に報告された事故の一例だ。 1日1回の安否確認が義務のサ…
特別養護老人ホームの約2割が要介護3の入所を見合わせていることが毎日新聞の全国アンケートでわかった。国は2015年に入所者を要介護3以上に制限したが、介護報酬の加算や要介護認定の不確かさを理由に施設側が受け入れを敬遠した形だ。2割以上の施設に空きがあるとみられ、要介護1、2でも認知症のある高齢者の受け入れ要望も多く、入所政策の見直しが迫られそうだ。 アンケートは2月、東京都、大阪府と全国の政令市で特養ホーム計1000施設に実施、359施設から回答を得た。要介護3を「将来の退所の可能性を考慮して入所を見合わせる例があるか」との問いに66施設(18.4%)が「ある」と回答。うち6割程度が「次の認定で2以下に下がりそうなら見合わせる」(首都圏の施設)とした。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く