いじめについて話すとき、ある年代以上の人は、こんなことを言う人がいる。「最近はひどいいじめが多い。私たちの頃だってちょっとしたいじめくらいはあったけど、あそこまでひどいいじめはなかった。」 こういう言い方をする人が比べているのは、実際のところ、「過去」と「現在」ではなく、「自分の身の回りの実感」と「ニュースに取り上げられるような悪質な事例」である。自分の身の回りの実感ならば、今現在学生をやっている人たちだって、悪質な事例なんて見聞きしていない人がほとんどだろう。 要するに、「私たちの頃は、あそこまでひどいいじめはなかった。」と言う人は、幸運にも自分の身の回りで悪質な事例に遭遇しなかっただけに過ぎない。 私たちは日常生活を送る上で、ほどんどの場合、悪質ないじめを「見ていない」し、児童虐待を「見ていない」し、性暴力を「見ていない」。しかし、それらは「ない」わけではない。 私たちは、近所の家庭が