東日本大震災の渦中も野球を諦めなかった釜石の球児たちが、4年10カ月前には夢にも思わなかった甲子園切符をつかんだ。釜石南時代の1996年以来20年ぶりの選抜高校野球大会出場が決まった29日、「鋼鐵(はがね)の意志(こころ)」と記した当時の出場記念石碑を笑顔で囲んだ選手たち。津波で家族や自宅を失った部員もいる中、支え続けてきた父母や地域の人々、OBらも被災地の希望をかみしめた。 「本当に野球を続けていいのかなと思った」。菊池智哉主将(2年)は震災直後、中学の部活動選びに悩んだ当時を振り返る。 釜石市松原町の自宅を流されたが、両親は「やりたいことをやりなさい」と背を押してくれた。道具は先輩らから譲り受け、野球を続けられた。 部員24人中7人が今も仮設住宅やみなし仮設住宅で生活を送る。逆境の中でプレーを続ける選手たちを周囲も支え、見守ってきた。 学校近くに住む女性(63)は「いつも練習の声が聞こ
県が25日公表した「復旧・復興ロードマップ」で、宮古市の閉伊川や陸前高田市の気仙川など4カ所の水門工事が県の復興計画最終年度の2018年度より遅れる見通しとなり、大槌町では復興工事への影響が懸念されている。防潮堤や水門などの海岸保全施設について住民からは安全面を考慮し「早くできれば」と願う意見が上がる一方、「新設だから仕方がない」という納得や「2年も3年も一緒」という諦めの声も出ている。 大槌川と小鎚川の水門工事が遅れる大槌町では、町によると小枕と安渡(あんど)地区の土地区画整理事業や防災集団移転促進事業の接続道路工事に影響が出るとみられる。町方地区の一部宅地は今春から使用開始の予定。水門がないままで住宅再建を進めるか、住民にとっては不安材料にもなる。 同町大槌の仮設団地で暮らす女性(65)は「発表のたびいろいろな工事が遅れ、早まったことはほとんどない。震災後1、2年のころは早く早くと思っ
東北から世界に通用するビールを造ろうと東北4県の5社で取り組む「東北魂ビールプロジェクト」は9日、一関市田村町の世嬉の一酒造(佐藤航社長)で始まった。5回目となる今回は過去最多のメーカーが集い、ユズを使った新ビールを商品化する。 同酒造が運営する「いわて蔵ビール」を中心に2013年に始まった企画。今回は同ビールのほか、遠野ズモナビール(遠野市)、あくらビール(秋田市)、みちのく福島路ビール(福島市)、仙南シンケンファクトリー(宮城県角田市)が参加した。 製品化するのは、ユズ果汁入りのすっきりとした味わいのラガービールで、アルコール度数は8度。宮城県柴田町産のユズ約10キロを使用する。 10日に世嬉の一酒造で醸造作業を行い、約1200リットルを製造。来年2月上旬ごろから、飲食店での提供やネット販売などを始める予定だ。 【写真=新ビールの醸造に向けて、意見を出し合う東北各社からの参加者】
JR盛岡支社(嶋誠治支社長)が、山田線の浅岸駅=盛岡市新庄=と大志田駅=同市浅岸=の廃止を検討していることが24日分かった。両駅は無人駅で、1日当たりの平均乗車人員が1人を割る状態が10年以上続いている。一方、住民や市は利用者がいることから存続を要望。また、両駅は自然に囲まれた「秘境駅」として全国に知られており、多くの鉄道ファンからも惜しむ声が上がりそうだ。 市は、同日の市議会議員全員協議会で廃止方針を報告。8月中旬に同支社から廃止の意向を示され、市主催の地元懇談会を経て10月下旬に存続を要望した経緯を説明した。 現在の停車本数は浅岸が1日上下各1本、大志田が同上下計3本。2012年度からは冬期間は全列車が通過している。14年度の1日平均乗車人員は浅岸が0・3人、大志田が0・4人にとどまる。 一方、両駅はスイッチバックの設備が残り、近年密かなブームとなっている「秘境駅」として認知度が高い。
釜石市の市民団体、ストップ戦争法釜石実行委員会(岩鼻美奈子代表)が同市鈴子町の釜石駅前で連日行っている安保関連法に反対するスタンディングデモが、3日で50回に達した。参加者は寒さや雨に耐えながら「憲法壊すな」「戦争法廃止」などと書いた看板を掲げ、同法廃止を粘り強く訴え続けている。 3日は4人が参加。午前11時半から30分間、手作りの看板を持ちドライバーらに同法廃止を訴えた。デモは釜石・大槌9条の会や同市平和委員会の会員らが中心となり、活動に賛同する団体や個人も参加。1日平均7、8人で延べ約320人が参加した。 法案可決前の9月14日から始め、豪雨などで3日間中止を余儀なくされた以外はほぼ毎日続けている。今後は安保関連法廃止を求める署名活動や、市内の歩道を歩きながら反対を訴えるウオーキングデモを行う考えだ。 【写真=通行車両に向かい、手作り看板で安保法廃止を訴える参加者=3日、釜石市鈴子町】
遠野署(佐藤義信署長)は、社会問題になっている特殊詐欺の被害防止に向けて、語り部による啓発活動に取り組んでいる。主な詐欺の手口を方言を交えた昔話風の「特殊詐欺物語」としてまとめた。24日は遠野市の高齢者が物語で特殊詐欺の被害防止対策を学習。民話のふるさと・遠野ならではの取り組みが注目を集めそうだ。 「ある時、じさまが家にいだっけば、弁護士を名乗る男から電話がきたっだど」「電話さ出てみたら、東京の息子だったずもな」 同市遠野町の自治会館で開かれた勉強会。市社会福祉協議会の事業に参加した約30人のお年寄りは、長年語り部として活躍する菊池タキさん(69)=同市松崎町=の話に神妙な表情で耳を傾けた。 物語は▽おれおれ▽架空請求▽還付金▽金融商品取引▽ギャンブル必勝法―の詐欺の手口をまとめた計5話。同署の柾本(まさもと)貴徳生活安全課長が遠野物語や昔話の語り部文化が根付く同市の特性に着目し、菊池さん
矢巾町の越秀敏教育長は4日、町内6小中学校に2014年度のいじめ認知件数の見直しを求めたところ、新たに三十数件の報告があったことを明らかにした。当初は各校がゼロと報告していたが、いじめの認知に問題があったことが浮き彫りとなった。 同町の中学2年の男子生徒がいじめを苦に自殺した問題を踏まえた文部科学省の通知に基づく見直しで判明。町議会定例会9月会議の一般質問で、小川文子氏(共産)の質問に対し件数を示した。 町教委によると、いじめは全6小中学校で確認され、小学校が半数以上を占めた。現在は「ほぼ解消された」としている。 越教育長は4日、いじめの対応に役立てるため小中学校全生徒の「個別カード」を作成する方針も説明。いじめやトラブル、教育相談の情報などをカードに書き込み、校内での情報共有や進級、中学校進学時の引き継ぎなどに役立てる。
20日告示、9月6日投票の知事選で、立候補を表明していた無所属の平野達男参院議員(61)=岩手選挙区=は7日、県庁で記者会見し、出馬を断念することを表明した。理由について「安全保障の在り方が最重要課題に浮上し、私の本意と大きくかけ離れる状況となった」と説明。今後は参院議員として活動を続ける意向を示した。3選出馬を目指す現職達増拓也氏(51)の県政運営と一線を画す各党派は今後対応を検討するが、告示まで残り時間は少なく、無投票となる流れが強まった。 会見で平野氏は「知事を選ぶ選挙なのに国の在り方が争点になっている。政党間の争いも激しくなってきた。熟慮を重ねた結果、6日午後に出馬断念を決意した」と説明した。 その上で「(達増氏の)無投票となることは大変申し訳ない。さまざまな叱咤(しった)は甘んじて受ける」と謝罪した。今後の活動は「参院議員の職責を全うしたい」とし、議員を続ける意思を示した。 <達
陸前高田市米崎町の脇之沢漁港で24日、東日本大震災の津波で流されたとみられる乗用車が海中から引き揚げられ、車内から白骨化した1人の遺体が見つかった。身分証明書などは見つからず、年齢、性別は不明。県警が身元特定を急いでいる。震災から4年4カ月以上が過ぎたが、県内ではまだ1129人が行方不明のままとなっている。 車は同漁港勝木田地区の沖合約100メートル、水深約3メートルに沈んでいた。同漁港で作業する養殖業者が震災がれきの撤去を市に要請し、委託を受けた地元の工事関係者が今月上旬に発見した。同日、クレーン船で車両を引き揚げたところ、大腿(だいたい)骨とみられる骨が見つかった。 車は岩手ナンバーで青色系の乗用車。腐食が進み、車内には大量の泥が堆積していた。 【写真=クレーンで海中から引き揚げられる車両。東日本大震災で被災したとみられ、内部から1人の白骨遺体が見つかった=24日、陸前高田市米崎町】
21日の県教育委員会議で、八重樫勝教育委員長が矢巾町の中学2年の男子生徒がいじめを苦にして自殺したとみられる問題で「県中学校総体で(男子生徒が通っていた)学校の生徒に『お前ら出る資格があるのか』などとやじを言った大人がいると聞いた」と指摘する一幕があった。同問題の影響は学校の内外に大きく広がり、生徒は学習や部活動などで不自由な学校生活を強いられている。保護者からは子どもの状況を案じる声が聞かれ、学校への一層の支援が必要だ。 心ないやじがあったこともあり、18~20日の県中学校総体の競技会場で同校は「校名」を出すことを控える様子がうかがわれた。 岩手日報社の取材や保護者らの証言によると、県央部の会場では自校の試合の時以外は学校の横断幕を掲げなかった。県南部の会場では選手以外の生徒の会場入りを見合わせ、県央部の会場では横断幕を掲げなかった。 校内では調査が始まった7日から、2学年や調査に深く携
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