「ご安全に」。大勢の作業員が行き交い、あいさつを交わす。昨年7月、東京電力福島第1原発を初めて訪れた福島大2年の上石(あげいし)美咲(20)は、第1原発に抱いていたイメージとの隔たりに驚いた。「以前は悪いイメージしかなかった。ガラの悪い雰囲気で、劣悪な環境なんだろうと思っていたが、そんなことはなかった」。日常のニュースの見方が変わった。 上石が第1原発を視察したいと考えた背景に、県外で経験した忘れられない出来事があった。 2015(平成27)年夏、ミスピーチキャンペーンクルーの一員として横浜市の百貨店で福島のモモの販売促進イベントに参加。1人で買い物に来ていた女性にモモの試食を勧めた。「おいしいね。どこ産の?」との質問に「福島から参りました」と答えると、女性はモモを吐き出した。 「『福島は危険』というイメージが強く残っていて生理的に無理だったんだと思う。せっかくおいしいと感じて下さったのに