<東京の港区、千代田区、新宿区、渋谷区、品川区の5つの区に首都圏のIT産業は集中している。その集積度は全産業の倍以上> 収入は学歴や職業といった個人の属性によって決まるが、居住地の影響も大きい。統計で見ても、東京のブルーカラーの平均年収が地方のホワイトカラーより高くなっている(総務省『就業構造基本調査』2012年)。 エンリコ・モレッティの『年収は住むところで決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』(邦訳:プレジデント社、2014年)によると、旧来の製造都市の大卒者より、イノベーション都市の高卒者のほうが稼いでいるという。産業構造の違いによるが、とりわけIT産業のようなイノベーション産業は特定地域に集積する傾向がある。 本書では、アメリカ国内のデータでそれが実証されているが、日本でもおおむね当てはまる。首都圏の情報通信産業(以下、IT産業)従事者比率の地図を描くと<図1>、そのことはよく