昼間、目さんの回文春秋を読ませてもらっていたら、これだ! という感じがしたので、ミニドラマにしてみようと思う。目さんの提案で、白戸沢医師役は長谷川博己、看護師長役は高畑淳子となったので、それでイメージして読んでみてください。 ************* ――ある午後の白戸沢医院。 (うららかな春の日差しが、診療室内にも降り注ぐ。診療室には患者がひとり) 「それじゃあ、心臓の音聞かせてくださいね」 (上半身の衣服を、たどたどしくまくり上げる中年の男性患者(温水洋一)。マスクをつけ、目もうつろだ。あくびをかみ殺しながら聴診器をつけ、心音に耳をすます白戸沢。昨夜は権藤(平泉成)のアリバイ崩しに夢中になり、一睡もしていない) ――ドクン......ドクン...... (不意に白戸沢の目が見開く。そうか、そういうことだったのか! 大急ぎで白衣を脱ぎ捨て、部屋を出る白戸沢。と、そこでいきなり、看護師長