白っぽい半袖シャツは、胸元に名前が刺繍されている。キャンバス地の学生カバンは、たすきがけときまっている。カバンのふたに大きく校名が書かれ、一歩ごとにお尻の上でぽんと跳ねる。捷運(MRT)駅で、コンビニで、夜市で。スクリーンで見慣れた“高中生(高校生)”たちが、じゃれあいながら、目の前を通り過ぎる。 暑い午後。台北市南郊・捷運の永安市場駅を出た。大通り沿いに5分ほど北へ歩き、歩道の切れ目で右にそれる。緑茂る小さな四号公園を右手に見ながら道なりに進むと、永和國小裏の水路にぶつかる。商店街と住宅が混在する地域。水路沿いに細い道を歩くと、ぽんと十字路が現れる。信号を越えた先が秀朗路。通りの左は復興商工。背の高い、白っぽいタイル張りの校舎が、通りに影を作っている。 空は青すぎる。日の光は白すぎる。カーンと音のしそうな暑さ。歩き始めて20分。ぼんやりした頭で、小吃店や美術社(画材店)が並ぶ通りをさらに