それは自殺の足音か自分の足音かわからないここは寒い部屋ひとり安酒を呷り目を閉じ耳を塞ぎ逃れられぬもののことを考えないようにしているおれがいる。 もう具体的に考える段階だというのは数字が物語っているおれは数字が嫌いだったが数字が死ねと言えば死ななければならない家賃光熱費食費払えなければ生きていてはいけない二ヶ月はなんとかなるのも慰めにならない。 おれは高いところが苦手だし電車に飛び込むという咄嗟の勇気にも欠けるし現在の薬品は安全に作られているのでいくら脳の処方薬を貯めこんで一気に飲んだところでいけるわけもないし自傷による実現は難しいともいうし車も持っていないしレンタカーを借りる金もないので練炭という線もないし競馬場のトイレ連単で人生アウトというのはふざけた発想で悪くないが現実味はない。 選択肢としてファーストチョイスになりうるのはやはり吊るすことだろうしこの世に生きるに値しない無能の罪人の罰