物知りな父親というと都筑道夫の「退職刑事」を連想する。 現職の刑事である息子が家に帰りかつてやり手だった父に自分が抱える難事件を相談する。 すると父親は息子の話から大胆な推理をして真相を言い当てる。 【スポンサーリンク】 主人公は、文芸誌の編集者である娘 田川美希。 実家へ帰り、教師だった父に最近あった奇妙な出来事を話す。 最優秀新人賞に応募作『夢の風車』が選ばれた。 美希は、早速作者である国高 貴幸に電話をかける。 しかし応募した本人は 「応募していませんよ、私は」 と答えた。 「投稿したのは、一昨年のことですよ」 (夢の風車) 北村薫の端正な筆致で語られる、少し不思議な謎をあっさり解く父。 娘が話す内容にある材料から推測できるもの。 凶悪な犯人が巡らせる複雑な謎に立ち向かうのではない。 中でも異色なのが、短編「闇の吉原」 泡坂妻夫の短編「椛山訪雪図」(短編集”煙の殺意”内)に登場する俳