マキノさんはのんきでいいねえ。ストレスなんか、ないんでしょ。 ありませんねえ、と私はこたえる。表情のバリエーションというのはこまやかな感情や感覚のやりとりに用いるためにあるので、この手の相手には三種類しか要らない。笑顔のようななにか、無表情に近いなにか、あからさまな不愉快面。最初のひとつで九割を済ませ、警告として稀に二番目を用い、それでも理解しない場合はからだごと引きながら三番目を用いる。 ストレスという語はよくも悪しくも心的な刺激を指すのであって、はたから見ても喜ばしいこと、本人も喜んでいることだって、ストレスにはなる。「ストレスがない」人間なんか、いない。いたら死んでいる。好ましくない負荷という意味にとったとしても、ない者はいない。生きているだけでけっこうたいへんなのだし、そのうえ職場で「ストレスないでしょ」などと訊く愚か者もいるのだ。それだけで反証は終了する。 ナイデスネーとこたえて
![ストレスなんかありません - 傘をひらいて、空を](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/06a15c64ba0ceec233d86d71001ebb29a9dcbf5d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn.blog.st-hatena.com%2Fimages%2Ftheme%2Fog-image-1500.png)