昨夏くらいから行けていなかった歯医者に今月からまた通い始めている。差し迫った痛みなどはないけれど、多くの虫歯が放置されたままなのだ。 それで今日は歯科衛生士による歯磨きの指導などが行われる日だった。通っている歯科ではそういう日を設けているのだ。 「うわーっ。すごい歯石」 しゃがれた声の衛生士さんは、口の中を見るなり素直すぎるリアクションをする。 「衛生士の指導久しぶりですか?」 通院自体が半年以上あいてしまっていたので、だいぶ久しぶりになる。 「あ、本当だ。随分あいてたんだ」 私の顔にはタオルを掛けられているのでわからなかったが、どうやら何かの履歴を見ながらしゃべっているらしい。 「前歯の歯石は取らないでって言ってたんですね」 そう言われて思い出した。前歯は歯茎が死んでいて、歯石を取ってしまうとグラグラと今にも抜けそうになるんだった。10年近く前に、別の歯医者で固定してもらってはいたけれど