エリーゼ・ヴィーゲルトが1953年に亡くなった老人ホームの建物=ベルリン、松井健撮影 【ベルリン=松井健】文豪・森鴎外の代表作「舞姫」のヒロイン、エリスのモデルと思われるドイツ人女性が大戦後の1953年まで生きていたことを示す資料が見つかった。鴎外と別れた後の遅い結婚も10年余りで伴侶を失い、独り身で生涯を終えた可能性が高い。「舞姫」の悲恋を映すような生涯が浮かぶ。 ■38歳の婚姻届・86歳で死亡届 エリスのモデルは、ドイツ留学から帰国した鴎外を追って直後に来日したエリーゼ・ヴィーゲルトというのが定説。この女性と同一人物と見られる女性の軌跡を追い続けているベルリン在住の作家六草(ろくそう)いちかさん(49)が、ベルリンの役所で新たに死亡届や婚姻届を探し出した。6日に東京都文京区の森鴎外記念館の講演会で発表する。 死亡届によると、エリーゼは53年8月4日にベルリンの老人ホームで死亡した