昨年の為替介入ポイントが近づく 昨年9月22日に財務省が24年ぶりとなる円買い・ドル売り介入を実施したのは、1ドル145円を超えて円安が進んだタイミングだった。足もとで円は1ドル140円台と再びその水準に近づいてきている(コラム「政府が円買いの為替介入を実施:効果は限られ時間稼ぎの政策に」、2022年9月22日)。しかし為替市場には、強い介入警戒感はまだ見られない。 昨年、財務省に為替介入の実施を促したのは、円安進行が物価高を加速し、生活を圧迫することを懸念する世論の高まりだった。日本銀行は当初、円安の経済的なメリットを強調していたが、それは国民からの強い批判にさらされた。円安進行が物価を押し上げ、生活を圧迫する姿は今も変わらない。しかし、円安に対する国民の反応が、昨年とは異なるのはなぜだろうか? その理由は大きく2つあると考えられる。第1は、今年の春闘で賃金上昇率が上振れたことで、物価高
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