「社会保険庁の年金記録問題は,『データの品質管理』という古くからの課題を再度示した」。こう語るのは,IT分野のアナリスト/コンサルタントである栗原潔氏(テックバイザー・ジェイピー代表取締役)。栗原氏は以前ガートナー ジャパンでアナリストとして活動しており,データ品質について継続的に調べてきた。 今回の年金記録問題は,(1)データの入力時点でそれが正しいかどうかをチェックしていない,という現場の管理のずさんさ。そして(2)データの入力を現場任せにしていた,という管理者の意識の低さなどが根底にある。栗原氏は,「年金記録問題はデータの品質管理の重要性を語る上で典型的な『反面教師』。日本の企業や組織の多くは,それを他人事だと笑ってはいられないはず」と指摘する。 一般的に,現場でデータを扱っている社員は,システムにデータを誤入力していないか,いまシステムに入っているデータと現実がかい離していないか,