一人の編集者として、最近の電子書籍や自炊ブームには相当な違和感がある。「本が売れないのは企画がつまらないから」と先輩編集者に習ったが、紙を電子に置き換えると、とたんに活字離れが解決するのだろうか。サスペンス小説の装丁家が、(色温度の高い)青みがかった白い紙を本文用紙に指定して演出した作品の世界観は、スキャンスナップで読み取れるのだろうか。 電子書籍のメリットとして語られることは、何もかもが編集者として培った常識に反している。年を取って説教じみてきたのなら申し訳ないが、どう考えてもおかしい。という疑問と憤りの入り交じった心情をオプンラボの小林利恵子さんにぶつけたところ、「電子書籍のビジネスとクリエイティブ」について勉強会を開催してくれることになった。 講師は慶應義塾大学SFC教授であり、車・カメラ・携帯など様々な商品のコンセプトづくり、デザインに関わるなど常に新たな挑戦を続けるコンセプター坂