大学入学共通テストはデジタル化可能か?――フィンランドのデジタル大学入学資格試験からの示唆 髙橋亜希子 教育学 教育 新型コロナウイルスの流行により、現在、大学関係者は来年度の入学試験の実施の形態に頭を悩ませている。入学試験においては、多数の受験者が一か所に集まるため「三密」が避けられないためである。 「三密を避ける」という観点から、大学の授業では現在、パソコンを用いたオンライン授業が行われている。それでは、パソコンを用いるデジタル大学入試が実施できれば、一つの解決策となりうるだろうか。慶応義塾大学教授の土居丈朗は、昨年の2019年2月に「大学入試で『デジタル試験』導入は可能なのか」という論稿を記している(注1)。土居は、費用・コストの面から大学でのデジタル入学試験導入について否定的であり、「受験生を外界から遮断して他人の助けを借りられないようにして、本人の能力を問うことができる」「廉価