法廷がすすり泣きに包まれた。父親の頭を殴るなどして殺害しようとしたとして、殺人未遂罪に問われた男性被告(53)の裁判員裁判。東京地裁で先月26~30日に行われた審理では、東京・浅草の用品店主だった被告が、繰り返される父親の“奇行”に追いつめられ、最愛の家族に金づちと包丁を振るうまでの経緯が明らかにされた。さらに、父親の行動が「難病」によるものであったことも判明。「病気とは思わなかった…」。病魔に気づかず、招いた悲劇に、被告と家族は悔悟の涙を流し続けた。(滝口亜希) 「どうして普通のおじいさんでいてくれないのかという思いだった」「おやじを楽にしてやり、私も死のうと思った」 27日の被告人質問で、被告は凶行に走った理由をこう説明した。 浅草駅前の商店街で事件が起きたのは、平成23年9月2日の夜。ここで婦人・子供用品店を営む被告は、父親=当時(81)=の頭を金づちで複数回殴った上、首を包丁で切り